CATFISH RECORDS

★ユトレヒト音楽院を2019年に卒業したオランダの若手実力派女性歌手&ソングライター：ジェシカ・デ・ブーア(1993年生まれ)の、小コンボと組んだデビュー・アルバム＝オリジナル曲集。

★透徹に澄みきった冷涼な風をそよ吹かせるかのような、清爽感抜群で潤い溢れるハイトーンの張りあるマイルド・クリーン・ヴォイスが、詩情豊かで、端麗なメロディーの美しさを大切にし、と同時に堂々こなれた洒脱なスキャット技やブルース的小節も随所に挿入、がトータルとしてはあくまでリリカルな、優しい人情肌のアウトライン・イメージにすんなり収束させる、という、軽やかでシャレた流麗な演唱を綴って瑞々しくもしっかりテイスティー・グルーヴィーな華を余裕で飾り、一方、現代感覚に富んだクール・アーシーなギターや、折り目正しいメロウ・バピッシュなピアノなど、バック陣のきっちりツボを心得た手堅くも芸の細かいプロフェッショナルなサポートも、グルーヴと旨味を的確に醸成して頼もしげに魅力を放った、全体を通じ至って居心地のいい今日版・最新型のラウンジ・ミュージック世界に清々しく浸りきれる快演内容。

★インティメイトな寛ぎを底流させつつ軽快敏活なノリのよさ・小気味のよさも絶やすことのない、演奏スタイルや曲調としては極めてコンテンポラリーな、ライトでソフトでポップ・フィーリングに満ちたスイスイ進む道程が形作られるが、そうした中で現れるデ・ブーア(vo)の歌唱やインスト勢のソロは、紛れなき「リアル・ジャズ」の体を成していて確たる聴き応え・歯応えがあり、ごく快適な憩いの趣とダイナミック・グルーヴィンな結構骨太い吟醸感が一体化したその空間は、実に豊饒・芳醇で全くゴキゲンだ。

★デ・ブーア(vo)の、白人抒情派ジャズ・ヴォーカルもしくはクール派ジャズ・ヴォーカルの伝統に深く根を下ろした、甘美でテンダーそれでいてヒンヤリ冷たい凛々しさ(背筋の伸び具合)を纏うところもある、言葉と旋律を何より重視した「優しい語り節」風の抒情指向なアプローチを先ずは基調とし、並行してもう一つの柱として、半器楽的タイプのスキャットやハミングなどの高等ワザも、十全に研鑽を積んだと思われる軽々風に乗るような朝飯前の余裕をもって滑脱に繰り出し、按配よくメリハリをつけ、また適度に鋭いスリル(並びにグルーヴ)を演出(さりげなく傑出したハイ・テクニシャンでもある)、そして全体を俯瞰すると終始一貫して親しみやすい柔和かつ瀟洒な人情味の絶えない、好感度バッチリの歌声キャラが巧まずナチュラルに、ちょっと飄々と確立されていて、何げに見事。

01. Prologue (1:03)
02. Limitless (3:51)
03. Discontented (4:19)
04. Inspiration (5:15)
05. Oak Tree (6:21)
06. Harvest (5:26)
07. Young Leaf (4:28)
08. Growing Courage (1:19)
09. Courage (6:15)
10. Share (5:50)
11. Seasons (6:05)

all tracks composed by Jessica de Boer
tracks 02, 03, 07 & 11 composed with Eric Brugmans,
track 08 arranged by Mees Siderius

Jessica de Boer ジェシカ・デ・ブーア (vocal)
Eric Brugmans エリック・ブルクマンス (guitar)
Manuel Wouthuysen マヌエル・ヴォウトハウゼン (piano, electric piano, synthesizer)
Thimo Gijezen ティモ・ガイゼン (double bass)
Mees Siderius メース・シデリウス (drums)
Yannick van ter Beek ヤニク・ファン・テル・ベーク (percussion)
Manon Nijenhuis マノン・ナインハウス (backing vocal)
Noël van der Wiel ノエル・ファン・デル・ヴィール (backing vocal)

2021年4月14-15日オランダ-ヒルフェルスムのWisseloord Studios録音

レーベル：Challenge

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