★チック・コリアに捧げるホンダ・トシユキ・ワールド
Rexとは王のこと、感謝を込めたトリビュートソングが心を打つ
★まずみなさんが不思議に思うのはアルバム・タイトルの『CC-Rex』ではないだろうか。これは恐竜ティラノサウルス-Rexに因んだもので、ラテン語で王を意味する。古くからのファンであればご存じのように、本多は無類の恐竜好き。そこで王と云われる恐竜にあやかった。「CC」は、今年2月9日に79年の生涯を閉じたチック・コリアのこと。この偉大なるジャズマンに子供のころから憧れ、目標にしてきた本多にとって、これは心がえぐられるような悲報であった。ちょうどレコーディングの時期でもあったので、感謝の意を込めてトリビュートすることにした。
★オープニングのは、リターン・トゥ・フォーエバーのファースト・アルバム収録曲。本多は、ここでのジョー・ファレルの演奏に衝撃を受けソプラノ・サックスを始め、自身のトレードマークにまで高めた。続くタイトル・トラックは本多がコリアのために書き下ろした躍動感に満ちたキュートなナンバー。奥平のスウィンギーなドラムを始め、各自の熟練の技が光る。ゆったりとした曲想が大人のムードを醸し出す<吾妻橋>はBW4のライヴの定番になっている野力のオリジナル。吾妻橋を渡っている最中に曲想が浮かんだという説も。も本多のオリジナルで、タイトル通り、地平線に向かってライオンやチータが疾走するアフリカの大地が目に浮かぶシネマチックな作品。もチックの代表作で、ゲイリー・バートンとのデュオで録音した73年の同タイトル収録曲。ここで本多は心に染み入る美しいソプラノ・サックスで哀悼の意を表す。野力のは、バーニング・ウェイヴ時代の人気曲の一つで『ブーメラン』収録曲。明るいトーンのカラフルな曲だが、要は音楽に身を浸すだけで、キノコを食したようなマジカルな体験ができるということ!エキゾチックでダイナミックなとは本多のオリジナル。前者は悠久の歴史を刻んできたナイル川に想いを馳せたのだろうか。胸のすくようなダイナミックなサウンドとエキサイティングなサックスに魅了される。後者で本多はアルトに魂を吹き込みながら、ディープに歌わせる。さようなら。そしてまたいつの日か。そんな風に語りかけているように筆者には聞こえるのだ。 (工藤 由美/Yumi Kudo/ライナーノートより抜粋)
1 La Fiesta (Chick Corea)
2 CC-Rex(本多俊之)
3 吾妻橋 (野力奏一) Azumabashi
4 Horizon (本多俊之)
5 Crystal Silence (Chick Corea)
6 Magic Mushroom (野力奏一)
7 Nile (本多俊之)
8 Last Ballad (本多俊之)
本多 俊之(Soprano,Alto Sax & Arrange)
野力 奏一(Keyboard,Piano & Arrange)
グレッグ・リー(Electric Bass)
奥平 真吾(Drums)
井上 銘(Electric Guitar #1.3.4.8)
2021年5月29日,30日,31日 Studio TLive 録音
*英訳:座間 裕子
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