★十代の頃から神童で大いに鳴らし、ウィーン・アート・オーケストラにソロイストとして招聘されたり、ジョニー・グリフィン、デヴィッド・マレイ、カーク・ライトシー、グレゴリー・ハッチンソンらに起用されたりと、充実したキャリアを積み、同じハンガリーの人気ピアニスト:ロバート・ラカトシュとも長らくコラボを続けつつ、過去ACTにリーダー録音を残していた(あと、トニー・ラカトシュ&リック・マーギッツァとの3テナー・ユニット・プロジェクト:Gypsy TenorsでもSkipから1作品発表)、今日のハンガリー・ジャズ・シーン最前線を突っ走るモダン・テナーサックスの実力者:ガーボル・ボッラ(1988年ハンガリーのブダペスト生まれ)の、盟友(兄貴分)R・ラカトシュ(p)を含むカルテットによる一編。
★骨芯のしっかり据わった太く重厚でドライヴ感溢れる逞しげなトーンのテナーが、ダイナミズム全開で勢いよく転げ回るかのような苦味走ったストロング・グルーヴィー、そしてスモーキーな翳り濃い硬派筋のバピッシュ・ブロウをひたすら豪快に、武骨に紡いで泰然自若の堂々たる華を成し、或いはソプラノに持ち替え鋭く尖った音色で執拗に、アグレッシヴに突っ掛かってゆく激烈咆哮をカマして熱い昂揚感を齎し、一方、ある時はモーダルで音数も多い疾走型のアクション攻勢をもってパッショネートにこれを煽り立て、ある時は折り目正しく耽美性あるきららかなバラード調でムーディーに迫るピアノの、中々細かく局面に応じたメリハリ充分のドラマティックな活躍も、色彩鮮やかかつ的確に魅力を際立たせた、全編を通じ極めて真っ当な現代ハード・バップの王道を行くド直球の熱演が連続して、スケールもデカく壮快に愉しませてくれる敢闘内容。
★ベース&ドラムのドッシリ・ズッシリとヘヴィーでいて跳ねのいい、猛烈にスイングしまくる律動驀進ぶりにも大いに圧倒される、一貫して精悍なタフネスや男気のみなぎった甘さは控えめの雄渾たる行軍が、突撃が決め込まれ、真っ向勝負の武勇肌でありながら結構おおらかな開放感をも湛えた道程の中で、ボッラ(ts)の、どこまでも男臭くいい意味で潤いに乏しい質実剛健なブローイングが毅然げに、漢たる揺るぎない妙味を爆裂させまくってゴキゲンだ。
→ハード・ドライヴィングで威勢よく熱血なタフガイ気質の屈強アクションを変らず身上として、ごっつりした無二の個性を遺憾なく揮いきっているが、寛ぎめの抒情的ナンバーとかでは抑制を利かせてスムースで丸みある波乗り調子のちょっとけだるい流線型プレイも披露、がしかしそれもやがては手癖・口癖っぽくエネルギッシュな泥臭めの鉄火節へと様変りして行ってしまう、辺りの不器用さ加減が何とも微笑ましい。そこへスルリと滑り込んできて、繊細で煌めくような清涼剤効果を潤沢に齎すラカトシュ(p)の軽妙瀟洒な立ち働きもナイス。
1. Monkey Donkey
2. Love Is Love
3. Chelsea Bridge
4. Blue Tarif
5. Wee See (ts-b-ds trio)
6. Lament
7. Swinging At The Heaven
8. Blues On The Move
9. Monkey Donkey (alternate take)
Gábor Bolla (tenor saxophone except 4) (soprano saxophone on 4)
Robert Lakatos (piano except 5)
Daniel Franck (bass)
Billy Drummond (drums)
2021年作品
レーベル:
Stunt
在庫有り
三つ折りデジパックCD