★ピアノ(&エレピ)のティエリー・マイヤール(1966年フランスのピュトー生まれ)、ギターのシルヴァン・リュック(1965年フランスのバイヨンヌ生まれ)、トランペット&フリューゲルホーンのステファン・ベルモンド(1967年フランスのヴァール県イエール生まれ)、といういずれもキャリア豊富なフランスの突出個性派名手3人がガッチリ組み合ったスペシャル変則ユニット:MLB Trio(リーダー格はやはりマイヤールか)による一編。
★透明感と潤いに富んだ端正なタッチのピアノが、幾らか瞑想的領域へも踏み込みながら繊細流麗に憂き詩情をじっくり映し出して基底のカラーを確固と決定づけ、かたや、曲・場面に応じて巧みに器種を使い分けるギターの、ある時は妖しく翳ったナイトメアの世界をシャープに描写し、ある時は耽美的かつ半牧歌的な優しいマイルド節を歌い、またある時はコンテンポラリー感覚溢れるグルーヴ技を繰り出す、中々振り幅の大きい活躍もドラマティックなアクセントを成し、そして一貫して流儀を変えることなくストレート・バピッシュかつリリカル&ロマネスクに哀愁を表すトランペットorフリューゲルのメロディック・プレイも、雄渾にして悠々たる魅力を放った、トータルとしては今日流ヨーロピアン抒情派ならではの奥深い詩的ロマンティシズムや旋律美と小気味のいいリズミカルなノリ、をごく快適に満喫させてくれる好演内容。
★この3楽器の組み合わせによる音響そのものに先ずは何より新鮮な驚きがあったり、各楽曲の曲想がいかにも現代欧州浪漫指向っぽい風雅な趣を呈していたり(転回としてファンク調、ラテンorタンゴ調、フォーク調などもある)、といった辺りは極めてユニークだが決して難解になることなく至って親しみやすく取っ付きやすい、開かれた間口の広さや娯楽性をあくまで堅持しての滑脱かつ簡潔な行き方が続き、1曲1曲はわりかし手短にまとめられた快速テンポでスイスイ進む道程の中、3者の、エッセンスを凝縮し手際よく切り詰めた筆運びでありながらしかし伸び伸びと遺憾なく個性を、本領を発揮しきったアドリブ奮戦が、色彩感も充分に冴え渡って全く鮮やか。
★マイヤール(p)の、グループの元締め然と徹頭徹尾ヨーロピアン・ロマンティストたる陰影を帯びたメランコリック・フレーズをエレガント&センシティヴに、節度をもって繰り出し続けるその端麗で柔和げな弾鳴のあり様が、何とも深遠そして幽玄豊かに独自の妙味を際立たせていて傑出しており、一方、リュック(g)の、エレキ、アコースティック、エレアコ風などを的確に織り混ぜつつカラフル&変幻自在に立ち回る役者ぶりも香味効果満点に光り、加えてベルモンド(flh,tp)の、どこまでも揺るぎなくマイペースで我が道を進む丹誠こもったオーソドックス・ブロウ(→全く悠然と構えた花形ソロイストぶりで実に清々しい!)が、非バップ的楽想を持った曲群にしっかりハード・バップらしい息吹きを、薫りを齎していてこれまた秀逸だ。
01. Birka
02. Terres Celtes
03. Astor
04. Couleurs Atlantiques
05. Eg Elskar Deg
06. Revenir à Vous
07. The Wave Of The Heart
08. La Valse Circonflexe
09. Norsk Skogkatt
10. Sleipnir
11. En Attendant Demain
12. Urban Walk
13. Luggala Estate
14. Les Langskips
15. Walz For Mom
Thierry Maillard (piano except 08) (electric piano on 08, 10, 14)
Sylvain Luc (guitar)
Stéphane Belmondo (flugelhorn, trumpet)
2021年フランス作品
レーベル:
Ilona
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紙ジャケット仕様CD
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