★クリーヴランド音楽院に学んで1940年代前半よりプロとして活動、ディジー・ガレスピーやライオネル・ハンプトン、ジェイ・マクシャンの各楽団を経て1953年にはヨーロッパへ移住、以降、自己コンボの他、クインシー・ジョーンズ楽団やケニー・クラーク=フランシー・ボラーン楽団の花形(顔役)ソロイストを務めるなど、ヨーロッパ・シーンで長らく精力的な活躍を続けた黒人モダン・トランペットの名匠:ベニー・ベイリー(1925年米オハイオ州クリーヴランド生まれ、2005年オランダのアムステルダムで死去)の、本盤は、スタジオ録音としてはベイリーのラスト・アルバムにあたる、バッキー・ピザレリ(g)、ジョン・バンチ(p)らとの小コンボを率いてのルイ・アームストロングへのオマージュを込めた名演が聴かれる、1999年11月ヴァン・ゲルダー・スタジオ録音の傑作(Enja ENJ-9407 2)の新装再発版。
★ハキハキとした明晰・明瞭な鳴り様の中に燻し銀的な渋さやスモーキーさをも豊富に含んだ、何とも味のあるトーンのトランペットが、明るく晴れ晴れとひたすらよく歌う、ブルース&バップ・フィーリングも十二分のメロディック・スウィンギン・プレイをテキパキ歯切れよく紡いで、殊の外デリシャスそして余情豊かな魅力を放ち、また、潤いに富んだ瀟洒でメロウ・ムーディーなギターや、シャキシャキ感に溢れ吟醸味もこってりのファンキーなピアノ、らの活躍もさすがの熟練さをもって的確に彩りを添えた、全体を通じ明快直球型の大衆娯楽的行き方が貫かれて、おいしくノリよく和ませてくれる充実内容。
★スタイルとしては抒情派ハード・バップとモダン・スイングの中間ぐらいの、一貫してウォーム&インティメイトな和気を底流させた、趣味のいい親睦会っぽい半ばジャム・セッション的気楽さを伴ってのラウンジ小唄大会、風の、親しみやすい気さくな人情味たっぷりの快演が続き、テイト(ds)やレンハート(b)の非常にダイナミックで重厚かつ敏活な猛スイングぶりが奏効して「寛ぎアクション!」的趣も適度に醸し出される、メリハリの利いた道程の中で、気力も充実しきった絶好調のベイリー(tp)、以下銘々の嬉々溌溂たるアドリブ活躍が誠に鮮やかな盛り上がりを、豊作ぶりを呈して云うことなし。
★ベイリー(tp)の、スイングとバップの間を滑脱に行き来しながら一聴気ままにブルージー歌謡的フレーズを自然体で楽々吹き放ってゆくようでいて、その文脈は巧まずして見事に構成され、全く無駄なくムラもない、という、トータル・イメージとしては結構ほのぼの&しみじみ(&悠然)とした哀愁漂うストーリーテリングの妙が卓抜で、一方、まろやかさと鋭いキレを絶妙に混在させたピザレリ(g)や、ブロック・コードを効果的に活用する粋なバンチ(p)、らのこれまた芸達者な、そして節度をきっちりわきまえた名職人ぶりもゴキゲンに光っている。
1. サムデイ・ユール・ビー・ソーリー
2. 浮気はやめた
3. ウェスト・エンド・ブルース
4. アフター・ユーヴ・ゴーン
5. ベイジン・ストリート・ブルース
6. ペニーズ・フロム・ヘヴン
7. ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニュー・オーリンズ
8. ホーム (ホエア・シャドウズ・フォール)
9. ア・キス・トゥ・ビルド・ア・ドリーム・オン
Benny Bailey ベニー・ベイリー (trumpet) (vocal on 6, 9)
Bucky Pizzarelli バッキー・ピザレリ (guitar)
John Bunch ジョン・バンチ (piano)
Jay Leonhart ジェイ・レンハート (bass)
Grady Tate グラディ・テイト (drums)
1999年11月16&17日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Recording Studio録音
(recorded by Rudy Van Gelder)
*原盤:Enja Records ENJ-9407 2
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) Enja
◎最新リマスター
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