2004年よりジャズ・ヴォーカリストとしての活動を開始、主に東北シーンでライヴを続け、先頃の2ndアルバム「Twisted」も好評を得ていた才媛:MIKA(宮城県栗原市生まれ、同所在住)の、好調サード・アルバムが登場。今回は、長らく共演を重ねてきたというギターの菅野義孝(1972年生まれ、岩手県出身)とのデュオによるスタンダード集。「馬土農園 樹里庵」(岩手県一関市)での録音。清澄さや爽涼さと金属的感触を併せ持ったきめ細かなトーンのギターの、安定感あるブルージー・バピッシュな正攻法プレイに優しくもノリよく導かれて、クリーンな透明感と渋くしゃがれたスモーキーな陰影味の混在した中高音の吟醸的ヴォイスが、ちょっとナイーヴに切々と語りかけてくるようであり、またブルース・フィーリングにも富み軽妙で小気味のいいスキャットを繰り出すところもある、こなれていながら清新さをも失わぬトータルとしてはあくまでテンダーなリリカル指向の演唱を、丹念かつ滑脱に紡いで心温まる、そしてしみじみとした滋味漂う歌世界をセンシティヴに創出した、快適なテイスティー編。ホッと安心できるインティメイトな空気感、=和気や寛ぎ、を底流させつつの、肩の力の抜けた自然体調子で親密に小唄セッションを愉しむかのような、衒いやケレンを排したアットホームであったかなムードの行き方が続き、作為なげでいて機微ある中々絶妙の均衡点を保った流麗な道程の中、さりげなくハイテクニシャンで芸の細かい菅野(g)のツボを心得た的確なサポートに支えられながら、MIKA(vo)の、十全に熟成された幾分か燻し銀っぽい感じもある真心こもったナチュラルな歌い回しが柔和に、芳醇に冴え渡って素晴らしい。→声色そのものの、微妙にくすんでくぐもったようなシブい翳り感や独特の皺っぽさ、といった要素が先ず何より味わい深くもチャーミングな無二の魅力を成しており、そして繰り出される節回しは歌詞とメロディーを大切にしたメロウ&デリケートな抒情派スタイルを基本として、時折転回としてスキャット技なども適所適量盛り込まれる、という、極めてオーソドックスな親しみやすい、気品や瀟洒味も充分の展開を見せていて魅力的だが、その一声一声に宿る、清楚でありながら微かに疲れた特有のリアルな生活感っぽさが他では聴けないワン&オンリーの妙味となっており、しかしそれも含めて全体のアウトライン・イメージはあくまで軽妙「小粋」な趣に収束している、辺りに何とも懐深く風流な味わいがあって絶品だ。
01. How About You (Burton Lane - Ralph Freed)
02. The Song Is You (Jerome Kern - Oscar Hammerstein II)
03. Haven't We Met (Kenny Rankin)
04. The Girl From Ipanema (Antonio Carlos Jobim - Norman Gimbel)
05. 'S Wonderful - Tea For Two - 'S Wonderful (George & Ira Gershwin, Vincent Youmans - Caesar Irving)
06. Polka Dots And Moonbeams (Jimmy Van Heusen) (solo guitar)
07. Almost Like Being In Love (Frederick Loewe - Alan Jay Lerner)
08. Everything Happens To Me (Matt Dennis - Tom Adair)
09. I've Got Just About Everything (Bob Dorough)
10. The Nearness Of You - Stardust (Hoagy Carmichael - Ned Washington, Hoagy Carmichael - Mitchell Parish)
11. When Sunny Gets Blue (Jack Segal / Marvin Fisher)
*bonus track
12. Mona Lisa (J. Livingstone / R. Evans)
MIKA (vocal except 06)
菅野 義孝 (guitar)
岩手県一関市、馬土農園 樹里庵での録音
2021年日本作品
レーベル:
Mona Lisa Records
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国内制作・紙ジャケット仕様CD
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