★日本のフリー派トランペットの先駆者の一人(関西での活動を経て1960年代初頭に東京へ拠点を移し、更に1974年以降は仏パリを本拠として活動した)であった鬼才：沖至(1941年兵庫県神戸市須磨区生まれ、2020年フランスのパリで死去)の、本盤は、1975年12月、フランスから一時的に帰国して翠川敬基(b)＆田中保積(ds)の盟友二人と再会、更に藤川義明(as,fl)を加えたカルテットを率いて、福岡市のジャズ・スポット:「コンボ」で公演を行なった折の未発表ライヴ音源(カセットテープ)を初アルバム化した発掘作品。
★鋭いキレや張りを呈しながら眩い閃光とドス黒い濃厚な暗影とを同時に放つかのようなトランペットの、轟然とした圧倒的破裂力=張り裂け感をこれでもかと爆発させて唸り、叫ぶ、異形で奇怪だが根底には旨口のスピリチュアリティを揺るぎなく息づかせた熱く激しい咆哮が屈強に、決然と繰り出されて鮮度も抜群の凄味溢れる壮快エキサイティングこの上なき華を成し、
一方、フリーキー・トーン交じりでシュール&アブストラクトそしてアナーキーな大立ち回りの暴れぶりを見せるアルトや、結構爽やかに涼風をそよ吹かせるが如き情魂こもったフルート、ピーヒョロピーヒョロピイピイピイ!と渾身の力を込めてノイジーに鳴きわめく笛、シャープ&メタリックに卓抜な精確巧緻さをもって一撃必殺っぽくシャキーン!と斬り込みを仕掛け、空を切り刻んでいたかと思えば、一転して加熱沸騰的に荒々しくヤバげなスイング疾走を決め込んだりもする変幻自在のドラム、幾分か控えめに的確なグルーヴ感を醸成する反面、怪異で不気味なホラー・テイストの表出にも冴えた妙味を発揮するウネり効きまくりのベース、辺りの活躍も各々しっかり鮮烈に魅力を際立たせた、全編ただならぬハイテンションさの悔いなき完全燃焼熱演が横溢してスカッと昂揚させてくれる、誠に濃密な敢闘内容。
★スピリチュアル系フリー・ジャズの一典型を示した、生々しいスリルやサスペンスとこってり濃い情念的味わい満点の奔放苛烈なインプロ奮戦!、が毅然として精悍軒昂に展開され、気力も充実しきった溌溂にして自在なワイルドネス&旨味ほとばしる沖(tp,笛)の、刻々と多彩に表情・筆致を違えてゆく中々ドラマツルギーにも長けたメリハリある大攻勢が、全体を通じてとりわけズバ抜けた鮮麗なる冴えを、キレを見せている(トランペットも無論素晴らしいが、変化球的に適所で挿入されるちょっとアブノーマルな笛ブロウのインパクトがまた強烈!)他、「危ない通り魔」風に獰猛&ヴァイオレントな大暴れの吠えっぷりで追い上げてくる藤川(as,fl)の強靭この上ない爆走や、タフネスみなぎったエキサイトしまくり・煽り立てまくりな田中(ds)の猛襲、なども只事でない盛り上がりを示して、一瞬たりともペースは緩まず清新気分のまま最後まで一気にイカせてくれる。降参。
1. Combo Session 1 14:00
2. Combo Session 2 17:05
3. Combo Session 3 5:49 (tp & ds duo)
4. Combo Session 4 17:10
5. Combo Session 5 15:15
*improvised and composed by Itaru Oki, Yoshiaki Fujikawa, Keiki Midorikawa and Hozumi Tanaka
沖 至 Itaru Oki (trumpet) (笛 on 1, 4, 5)
藤川 義明 Yoshiaki Fujikawa (alto saxophone on 2, 4, 5) (flute on 1, 4)
翠川 敬基 Keiki Midorikawa (bass except 3)
田中 保積 Hozumi Tanaka (drums)
1975年12月7日福岡市Jazz Spot Comboでのライヴ録音
レーベル：
NoBusiness ちゃぷちゃぷレコード
在庫有り
限定盤CD
