CATFISH RECORDS

★進取性にも富み硬派で鳴らした女性ポスト・バップ・ピアノの筆頭実力者＝ヴェテラン名手：リニー・ロスネス(1962年カナダのサスカチュワン州レジャイナ生まれ)の、今回は、クリス・ポッター(ts,ss,fl,bcl)やクリスチャン・マクブライド(b)ら強力な顔ぶれの小コンボによる、円熟にして依然チャレンジングな自作曲集。

★ズッシリ芯の据わった重厚さや歯切れのいい鋭角性、硬質感を備え、と同時に流れるような滑らかな風合いも呈した、中々表情に富むストーン・タッチのピアノが、甘さ控えめで思索性漂う、そして内に熱い激情を秘めたシャープ&ソリッドなダイナミック・スウィンギン・プレイを敏活に紡いで、凛とした隙なげで颯爽たる華を成し、一方、太い音色でアグレッシヴにぶつかってくるテナーや、細く尖ったトーンでパッショネートにさえずり鳴くソプラノ、バネと粘りを利かせて悠々とスピリチュアル&ソウルフルに歌うベース、瞬発力抜群のスピーディーな動きで変幻自在にスリルとグルーヴを醸成する疾風ドラム、らの活躍も各々鮮烈に濃い彩り&旨味を確固と添えた、全体を通じ苦味走ったシリアスな面持ちの内側から深く豊かな哀愁的詩情がじんわり滲んでくる感じの好演内容。

★ピリッとしたハードボイルド調の硬派でシビアめな現代流モーダル・バップ熱演が精悍に、毅然とした調子で展開してゆき、アクションに主眼を置いたダークでちょっと不穏な怪しさ仄めくリズミカル・グルーヴィー路線がメインを成しつつ、バラードや寛ぎめ趣向も好タイミングで挿入される適度にメリハリの効いた道程が形成される中で、ロスネス(p)やポッター(ts,ss他)らの腰を据えて伸び伸びと得意技を揮いきったアドリブ奮戦が、何とも鮮やかに冴え渡ってゴキゲンだ。

★ロスネス(p)の、基本はキッと締まった、或いはツンとした表情でハード&ビターに妥協なくダイナミズムを、力学的迫真性を体現してさすが鍛え抜かれ、研ぎ澄まされたコワモテぶりを堂々発揮するが、マッコイに急接近した熱血疾走攻勢から立ち昇ってくるストレートで武骨っぽくもある人情味や、バラードでの、アンニュイ&メランコリックな奥深い憂愁描写あるいはバロック的色合いを加味した半チェンバーなラウンジ・リラクゼーション表出、といった辺りの親しみやすさ・味わい豊かさも格別で、また、ポッター(ts,ss他)の、一ゲスト・ソロイストになりきってリキまず悠然とセッションを楽しんでいる感じの流麗滑脱な泳ぎっぷりや、C・アレン(ds)の圧倒的な超絶ハイテクニシャンたる縦横無尽の敏速ゲリラ・アタック!、なども忘れ難くおいしさ絶品の好インパクトを残す。

1. Silk (Dedicated to Donald Brown) 5:24
2. Kinds Of Love 5:47
3. In Time Like Air 6:09
4. The Golden Triangle 6:35
5. Evermore 7:29
6. Passing Jupiter 7:17
7. Life Does Not Wait (A Vida Não Espera) 5:20
8. Swoop 6:35
9. Blessings In A Year Of Exile 5:31

Chris Potter (tenor saxophone on 1,3,4,5,7,8) (soprano saxophone on 2,6,9) (flute or alto-flute on 3,7) (bass clarinet on 6)
Renee Rosnes (piano) (electric piano on 3,7) (vocal on 3)
Christian McBride (bass)
Carl Allen (drums)
Rogério Boccato (percussion on 1,2,3,4,7) (vocal on 3)

2021年3月31日&4月1日ニューヨークシティのSear Sound, Studio C録音

レーベル：Smoke Sessions

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