★バップ・フィーリング溢れるジャズ・ヴォーカルの個性的スタイリスト:シーラ・ジョーダン(1928年ミシガン州デトロイト生まれ)の、本盤は、初リーダー・アルバム「Portrait of Sheila」(1962年録音 Blue Note)の2年前、=1960年6月、ピアノ・トリオをバックにニューヨークのスタジオでChatam Recordsのために吹き込まれながら未発表に終わっていた音源を、アセテート盤から新たに起こした価値ある発掘アルバム。
★透明感や爽涼な潤いに溢れ、と同時にシャープなキレやしなやかな伸張力も備わった、一聴自然体そうでありながら何げに高度なテクニックによる裏打ち・担保をも窺わせる、線は細くトーンの高いクール&キュートな端麗ヴォイスによる、一語一語・一声一声に丹誠を込めて丁寧に、濃やかに歌曲世界の情景を活写してゆく、基本は先ず何より歌詞とメロディーを大切にしたストレートなリリカル・スタイルを身上とするも、そうした柔和さ・ナチュラルさ一辺倒にとどまらず、結構スタイリッシュなエレガンスの醸成や躍動的グルーヴ表現といったジャズ・ヴォーカルならではの研ぎ澄まされた「ワザ」が、いかにもテクニカルにと云うのではなくてあくまで巧まざる普段着っぽい節回しの中に適量適所混ぜ込まれて上手くメリハリを生み、トータルとしては声色そのものの若々しさ・初々しさも奏効して中々清楚可憐な好感度抜群のアウトライン・イメージが実に軽妙に確立されている、という、テンダネスに満ちた歌唱ぶりで心地よく乗せ、また和ませてくれる殊の外フレッシュな会心打内容。
★バックのピアノ・トリオの全き正攻法なハード・バップ演奏もテイスティー・グルーヴィーに魅力を際立たせる、一貫してインティメイトなリラクゼーションを絶やさない「ラウンジ寛ぎ小唄セッションの鑑」、とも云うべき快適この上なしの行き方が続き、1曲1曲は簡潔にまとめられ、ムーディーなスロー・バラードとテンポのあるスウィンギンな趣向とがほぼ交互に現れる、誠に清新で飽きのこないトントン拍子の道程の中、ジョーダン(vo)の、メロウでハートウォーミング、それでいて鋭い緊張感を仄めかすところもある、絶妙の均衡点を保った歌いっぷり〜語り口の粋が瑞々しく爽やかに冴え渡ってゴキゲンだ。
→優しくしっとりと落ち着いた、デリケートに、ニュアンス深く囁きかけてくるようなリラックス傾向と、キリッと背筋の伸びた凛々しさやシャープネス、がごく自然に共存し、既にこの時点で堂々とこなれた感じもあるその演唱展開は高密度で奥行きに富み説得力も抜群で、しかしながら全体を俯瞰するとやはり印象として、何ともプリティー&ラヴリーで瀟洒さ・小粋さ一杯のキャラにすんなり収束している、そうした、妙なる塩梅、作為なき匙加減で自ずと成立した(ちょっと儚げでもある)煌めくような歌声のあり様は大いに蠱惑的。
01. I'm The Girl
02. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
03. Ballad Of The Sad Young Man
04. Comes Love
05. Don't Explain
06. Sleeping Bee
07. When The World Was Young
08. I'll Take Romance
09. These Foolish Things
10. Glad To Be Unhappy
11. They Can't Take That Away From Me
Sheila Jordan (vocal)
Unknown (probably John Knapp or Dave Frishberg or Herbie Nichols?) (piano)
Unknown (probably Steve Swallow or Gene Perlman?) (bass)
Unknown (probably Ziggy Willman?) (drums)
1960年6月10日ニューヨークのOlmsted Sound Studios録音
レーベル:
Capri
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三つ折りデジパック仕様CD