★高柳昌行とのコラボや自己の野心的グループ:キングス・ロアなど、ミンガスの流れを汲む一方でフリー派フィールドにも踏み込んでのプログレッシヴかつ先駆的な芸風・作風で鳴らした独創肌ベースの異才:金井英人(1931年旧東京府生まれ、2011年死去)の、本盤は、大編成体制のキングス・ロアに強力なゲスト陣も迎えての熱演が聴かれる、1975年5月東京録音の渾身作(tbm-45)のCD化。
★アブストラクトで混沌とした管楽器陣の咆哮が幾分か無秩序っぽく不穏に飛び交ったと思えば、一転してグルーヴィーなスウィンギン・ビートに乗ってサックス勢が真っ向勝負で鎬を削る、モーダル・アグレッシヴ&スピリチュアルな熱血アクション大会に推移したり、やがてはまた異形で爆発的なパーカッションのけたたましいフリー・インプロが炸裂!、そしてそうした激変する展開の中で、肉厚なベースが強力にバネを利かせつつハード・ドライヴ感も満点に絶えず泰然として大きくウネり波打ち続ける、といった具合で、要所要所にアナーキーなカオス状態も現れるものの、トータルとしては結構スッキリわかりやすい活劇エンタテインメント指向の大立ち回り合戦がノリノリで盛り上がりを見せて、大いに壮快に昂揚させてくれる敢闘内容。
★3部から成る#1では、森剣治と宮田英夫の2リードが悔いを残さず完全燃焼する、疾走感もみなぎったエネルギッシュなリレー対決(中盤)を最大のクライマックスとしながら、後半では金井(b)の重圧力と濃い口のスピリチュアリティに満ち満ちた荒波攻勢や、パーカッション(中山正治)の猛りに猛る野獣の如き暴れぶり、テナーサックス(宮田)の狂おしいまでの雄叫び・吠えまくり様、などでもバッチリ沸かせ、
★また佐藤允彦作編曲のミンガスに捧げられた#2では、伸び伸びと本領発揮する金井(b)の、ダークでノワールな情念の燃え盛り様を生々しく体現した溌溂たる勇躍や、森の妖しいバスクラ、福島照之のピリッとしたブルージー・バピッシュなトランペット、なども縦横に交差してくる力演に次ぐ力演で、聴く者を興奮の坩堝に叩き込んでくれる。というわけで、70年代ならではの少々荒削りな迫真力一杯の怒涛アタック!がこれでもかと連続してスカッと胸もすく、パッショネートこの上なしの痛快逸品だ。
1. 鳥の詩 (パートI:鳥の詩 パートII:怪鳥 パートIII:不死鳥)
2. ワン・フォー・チャーリー
金井 英人 (bass) (composition, arrangement on 1)
秋丸 一二 (trumpet)
田中 洋介 (trumpet)
浅見 正道 (trumpet)
大橋 昇 (trumpet)
新井 正勝 (trumpet)
松茂良 興儀 (trumpet on 1)
一ノ瀬 友宏 (trombone)
庄崎 正訓 (trombone)
坂口 和男 (trombone)
加藤岡 新一 (bass trombone)
今府 弘之 (alto saxophone)
高松 昭和 (alto saxophone)
久我 謙二 (alto saxophone on 2)
本橋 武夫 (tenor saxophone)
山田 洋 (baritone saxophone)
門田 光雄(piano, synthesizer on 1)
黒沢 吉博 (guitar on 2)
*ゲスト:
福島 照之 (trumpet on 2)
森 剣治 (alto saxophone, flute, recorder on 1) (bass clarinet on 2)
宮田 英夫 (soprano saxophone, tenor saxophone, flute on 1)
中山 正治 (drums, percussion)
雨宮 靖和 (percussion)
漆山 展安 (percussion)
佐藤 允彦 (composition, arrangement on 2)
1975年5月2日,16日東京AOI Studio録音
(stereo)
レーベル:
Craftman Records
在庫有り
国内制作CD