★2015年に1stミニアルバムを発表し、2019年には小美濃悠太(b)とのデュオ、酒井麻生代(fl)とのデュオ、国際カルテット:Leisure Children、と立て続けに3作品をリリースして注目を集めていた個性派女性ピアニスト：大森聖子、をリーダー格に、名相棒の小美濃、東北の才媛：名雪祥代(ss)の参画したスペシャル・トリオ：「旅する音楽トリオ」による、大森のオリジナル・ナンバーを中心としつつ組曲風にまとめられた入魂の一編。
★端正できめ細かくエレガントなタッチのピアノが荘厳で神妙げ、それでいて優しさ・まろやかさ溢れる、静謐に祈るかのようなロマンティック&スピリチュアルな抒情派メロディック・プレイをしっとりと紡いで瑞々しい華を成し、一方、幾分かクラシックの匂いが漂うピアノに比して純ジャズ然とメリハリの利いた鳥のさえずりの如きエモーショナルなブロウを力強く繰り出すソプラノや、芳醇なコクと重厚なドライヴ感をちょっと控えめに、かつしっかり的確に振りまく弾性満点のおぼろ太いベース、らもバッチリ濃くテイスティー・グルーヴィーに魅力を際立たせて堂々拮抗した、全体を通じ穏やかな静けさと精悍軒昂なる爆発的イキのよさがスリリングに交錯する奥行き深い音空間に快適にハマらせ、感動させてくれる何げに高密度な敢闘内容。
★ヒンヤリ爽涼で澄みきった空気感を湛える独特のサロン・ムードが維持されながら、趣味のいい上品な寛ぎ感覚と敏活でダイナミックなグルーヴ&スリルとが細密に共存した、リリカル指向の極めてメロディアスな行き方が続き、緩急の起伏も適宜自然につけられるさりげなくドラマティックな道程の中で、微妙に瞑想感を孕んだ端麗優美な筆致をほぼ貫く大森(p)や、結構パワフルに生々しく喜怒哀楽を描破する名雪(ss)、の各々肝を据えて切々と躍動する殊の外気合の入った、そして殊の外気魄のこもったアドリブ奮戦が胸に迫る盛り上がりを呈して中々圧倒的だ。
★大森(p)の、硬質で鋭角なダイナミズムをリアル・エキサイティングに真っ向体現するところもあるが、しかし大方はニューエイジ・ミュージックもしくは現代クラシックとモダン・ジャズの折衷、的な、繊細美麗なエレガンス最重視の落ち着いた節度ある立ち居振る舞いを基本身上としていて、これが実に典雅に映え渡っており、かたや名雪(ss)の、モーダル・アグレッシヴで少々ワイルドでもある「アクション」命の勇猛にして剛柔巧みに使い分けた劇的咆哮ぶりも、まさに血沸き肉躍る頼もしい好敵手役、ファイター役を担っていて卓抜。
1. Improvisation I (solo piano)
2. 第十六夜 道化師 (Seiko Omori)
3. 絵のない絵本 (Seiko Omori)
4. 第二十八夜 白鳥 (Seiko Omori)
5. Green Sleeves (イングランド民謡 / arranged by Sachiyo Nayuki)
6. Improvisation II (solo piano)
大森 聖子 (piano)
名雪 祥代 (soprano saxophone except 1, 6)
小美濃 悠太 (contrabass except 1, 6)
東京都世田谷区等々力、Fluss録音
2021年日本作品
レーベル：
タイムマシンレコード
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在庫有り
国内制作デジパック仕様CD
