★ベテラン:渋谷毅(1939年東京都生まれ)と、そのオーケストラの一員でもある進歩派:石渡明廣(1958年神奈川県生まれ)、という名コンビによるデュオ集。2006年4月&5月録音。
★優しく温かな歌心と波乗り様の流線的スイング感、の表出具合が何とも好もしい、リラックス・モードのマイルド&ソフィスティケートな抒情派奏演が繊細に、穏やかに綴られる快適内容である。しっとりめのバラード調と、ミディアム・テンポのスインギーな小唄風、とがバランスよく織り混ぜられた(前者に比重ありか)ひたすらメロディアス&ハートウォームな、親密さと深い和み感そしてデリカシー〜ニュアンスの濃やかさを肝とする協調アンサンブル型の端正な行き方が続き、両者の、抑制を利かせつつ軽妙滑脱に詩情を歌う、明朗で中々伸びやかなロマンティストらしいソロがデリシャスに座を分け合ってゆく。
★微妙に濁りやザラつきを含んだ水晶っぽいトーンで、牧歌的スピリチュアリティ溢れるまろやかな端麗フレーズと、熱気や硬質な締まり(グルーヴ感)を醸出するコンテンポラリー感覚のキメ的ブルージー節、を細かに交錯させてメリハリある流れを形作ってゆく、小回り絶妙のg、そして、潤いと包容力に満ちた柔和で甘美な寛ぎバラード・プレイを基調に、硬派で渋いバップ&ブルースの伝統的イディオム技も効果的に混ぜ込んでくる、ちょっと達観した風情のピアノ、とが、ともにごく自然な半脱力調子でさすがの懐深さを見せた、誠に親しみやすい耽美派デュオの一級品。
1 Talk About Walking Through
2 月の鳥
3 影響の記憶
4 Sing In Exit
5 Body And Soul
6 Obscure Steps
7 Mr. Monster
8 深く、ゆっくり、上へ
渋谷 毅 (piano)
石渡 明廣 (guitar)
2006年4月13,18日,5月23日 Knuttel house 録音
在庫有り
紙ジャケット仕様CD
