★カナダの人気ギタリスト:レグ・シュワガーの妹であるヴォーカリスト&ソングライター(ピアニストでもある)(ポール・ブレイと五分に組むなど中々恐ろしい面もある):ジャネット・ランベル(オランダ生まれ、カナダ-オンタリオ州サドバリー=Sudburyで育つ)の、本盤は、シュワガーを筆頭とする小コンボの伴奏で1994年1月に吹き込まれた(於モントリオール)幻の一作(Jazz From Rant原盤)の、四半世紀余ぶりのCD復刻。
★シャープな張りやキレを呈し、ヒンヤリ冷涼でまろやかな潤いや透明感(或いは白雪っぽさ)にも富んだ、トーン高めで芯の据わった安定感あるクリーン・ヴォイスによる、歌詞とメロディーを大切にしながら抑揚豊かに中々力強くグルーヴを体現してもゆく、基本はあくまで切々と情感の行く末を伝える躍動型のリリカル歌唱が、声音自体のキーンと冷たく冴えた清風のような趣と相まって殊の外瑞々しく爽やかな華を成し、一方、しっかりハード・バピッシュで骨太感あるギターの硬派な鋭角的アクションや、アーシー・スウィンギンにキビキビ躍動するトランペット、哀愁たっぷりにマヌーシュな郷愁を映すヴァイオリン、荘厳な古式ゆかしさとミステリアスなエキゾティック色を渾然と振りまくチェロ、らインスト陣の真剣勝負の奮戦もバッチリ芳醇にコク旨な魅力を際立たせた、歯応え充分にしてホッと安心できる何げに中身の濃い好演内容。
★ウォーム&インティメイトなナイト・ラウンジ気分の優しい和み感を変らず底流させ、同時に敏活で歯切れのいい鋭利なノリ=ダイナミック・スイング感をも堅持した、アウトライン的には趣味のいい軽妙瀟洒な寛ぎ小唄セッションっぽいイメージの、快テンポで小気味よい道程が続くが、主役:ジャネット・ランベルの声そのものに宿る、ノーマ・ウィンストンとまでは行かないものの独特の冷え冷えとした半思索的ムードや、シュワガーのギターを筆頭とするインスト・サウンドの重厚さ、加えて楽曲の表す適度なコンテンポラリー・テイスト、といった要素が効いて、J・ランベルの歌い回し以下銘々の文体はあくまで粋で洒脱なリラックス傾向ではあるがトータルとしては、カタギの小唄大会からちょっとずれた、仄かな内向性や鋭いクールネス、幾分かシリアスな理知的文学性の漂う、バランス感覚絶妙のシャレていつつ幽玄深いワン&オンリーな歌世界が軽々創出されており、さりげなく見事。
★ジャネット・ランベルの、アメリカ白人系抒情派+クール派タイプ・シンガーの系譜を汲んだ、小粋でお洒落でウィットある、軽みの利いた流麗滑脱な寛ぎスインギー節を基本身上とするも、その声質に顕れる「寒冷地をそよ吹く風」の如き研ぎ澄まされた空気感や、レパートリー各々から齎されるこれまたクール(&インテリジェント)な現代感覚、などが加味されて、メロウ&テンダーでありながら微妙に醒めたところのある、全く独自の凛とした歌声キャラが巧まずして揺るぎなく確立されていて、説得力も絶大だ。若干出しゃばり気味(?)にワシワシ攻め込んでくるシュワガー(g)の助演も濃い好アクセント。
01. ギブレ
02. サムワン・エルス
03. ドリームキャッチャー
04. アスク・ハー
05. シントラ・ソング
06. アルファマ
07. バラッド・オブ・ザ・サッド・ヤング・メン
08. タンゴ・フォー・ワン
09. リマインダーズ
10. オー、ユー・クレイジー・ムーン
11. サロブレナ
12. ホエア・ウィ・リヴ
13. ウィンター・ソルスティス
Jeannette Lambert ジャネット・ランベル (vocal)
Reg Schwager レグ・シュワガー (guitar)
Kiki Misumi キキ・ミスミ (cello)
Michel Lambert ミッシェル・ランベル (drums)
*guests:
John McGarvie ジョン・マクガビー (violin on 05, 13)
Herbie Spanier ハービー・スパニエル (trumpet on 04, 09)
Michael Stuart マイケル・スチュアート (tenor saxophone on 08)
1994年1月18日,19日カナダ-モントリオールのRANT Studio録音
*(CANADA Jazz From Rant rant 9417)でCD化(廃盤)
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作 見開き紙ジャケット仕様CD
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