★バークリー音大やマンハッタン・スクール・オブ・ミュージック、ジュリアード・スクール等に学び、凡そ20年来NYシーンで活躍、Peppa Cone MusicやWoodville、Whirlwind、Posi-Toneから着々とアルバムを発表して高い評価を得てきた、個性充分のアルトサックス奏者:パトリック・コーネリアスの、今回は、かつて組んでいた企画ユニット:The TransAtlantic Collectiveの再結成的な(但、以前はこれにトランペットが加わっていた)、ピアノ(エストニア出身)&ベース(米国出身、ロンドンで活動、当Whirlwindレーベルのオーナー)&ドラム(ルクセンブルク出身)とのカルテットによる一編。
★キュッと引き締まったソリッドな風合いと、まろやかで滑らかな流線形っぽさや脱力感、が渾然一体化した、ニュアンスに富み味わいあるトーンのアルトが、ヒネりを利かせて渦を巻きながら宙を軽やかに突進してゆく感じの、適度に甘さの抑えられたハードボイルドな、同時にある時は妖しいエスニック傾向が強まったりまたある時は安らいだ牧歌的フォーキー色が際立ったりの、唄のフィーリングも充分の精悍で独特の酸っぱみを含んだモーダル・バピッシュ・ブロウを鋭敏に紡いで凛然たる華を成し、一方、硬質で角張った凹凸の烈しい力学的アクティヴィティ〜攻撃性と繊細深遠な耽美的ロマンティックさを的確微細に使い分けるピアノを始め、リズム・セクションのきっちりツボを心得つつフェイント・アタック!調に意表も衝いてくる遊撃型サポート、もスリルとグルーヴを上手く高めて全体の鮮度をシカとアップさせ見事絵にハマッた、押し並べて情趣豊かで歯応え満点の会心打内容。
★現代流硬派ポスト・バップの正統らしい、ビート・スタイルは適宜ヴァラエティーに富みその表情は概ね苦味走っていながらも「哀愁の歌心」がそこかしこにチラつく、巧い按配でバランスのとれた半思索調のリリカル・アクション奏演が滑脱に展開され、サイド陣の確固とした律動力とゲリラ的奇襲性を兼ね備える中々芸の細かいバックアップにガッチリ支えられ、また揺さぶられて、コーネリアス(as)の、リアル即興度も高い基本はシリアス筋の軒昂な気魄みなぎった真剣勝負のインプロヴィゼーションが、ひたすらシャープ&スリリング・グルーヴィーにブレなく堂々見せ場を飾って実に鮮やか。
→モード系メインストリーム・アルトの典型を示したビター&スピーディーなキリッとした甘くないハード・ドライヴィング躍動咆哮や、ファンク的な程好く入り組んだリズミカルさ並びに現代版ブルース感覚を多々投入したダークなグルーヴ節、といった、その面持ちも厳しく険しい、そしてアグレッシヴな激しさを孕む締まりの効いた切迫フレージングにこそ、アルト特有の甲高くトンガッた硬質な響きと相まって剃刀の如く毅然決然とした妥協なき本領が遺憾なく発揮されているが、反面、バラード的局面における、メロウでアンニュイな憂き心情の推移、その機微を丁寧に掬い取ってゆくかのような、柔和でマイルドな感触を呈した繊細メランコリック・プレイの雅やかさ、幽玄深さがまた絶品だ。
1. Way Of The Cairns
2. Star Party
3. Blueberry Mountain
4. Seawall Sunrise
5. Darkest Night
6. Valse Hésitante
7. Personal Beehives
8. On The Precipice
9. Ten Years Later
Patrick Cornelius (alto saxophone)
Kristjan Randalu (piano)
Michael Janisch (double bass)
Paul Wiltgen (drums)
2019年5月20日英ロンドンのRed Gables Studio録音
レーベル:
Whirlwind Recordings
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三つ折り紙ジャケット仕様CD
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