★1995年千葉県生まれ、(幼少期から高校卒業までを)パプアニューギニアに育ち、米バークリー音大を首席で卒業、という異色の経歴を持つ進歩的個性派アルト&ソプラノサックスの若き実力者:松丸契の、本盤は、好評だった前・第1作「Thinkkaism」に続いて再び"Boys"の面々(石井彰-p,金澤英明-b,石若駿-ds,per)と組んだカルテットによる、またフレッシュな気合みなぎった一編。
★強烈に絞りが利いていてチョイと異形にヒズみ唸るようなところもある結構凄まじい切迫感を湛えたソリッド・トーンのアルトが、ちょっとヤバイぐらいのただならぬ疾走感を伴いつつ激しく吠え叫び、かと思えば引き締まった中にも幾分かソフトに脱力した風合いへトーンを変化させて、シュール&アブストラクトかつ飄々と晴れやかにアウトドアを闊歩する風な明るいスイング吹奏を展開、更にはソプラノに持ち替え尖った音色で思索性を孕んだ浮遊的さえずり技を繰り出したりと、中々に奔放自在で機略縦横なる多彩な滑脱ブロウを軽やかにキメて、不可思議であり旨味も潤沢なバランス絶妙の絵を悠々と飾った快投内容。
★現代モード系のポスト・バップ的なスタイルを基本としながら、フリー・ジャズ調になったりM-BASEファンクに接近したりもする、概ね苦味走ったシリアスなテイストのアグレッシヴ・アクション肌熱演、がエネルギッシュに、それでいてけっこう余裕そうでもある調子で紡がれてゆき、1曲1曲はわりかし簡潔にまとめられたテンポよくトントン拍子に進む道程の中で、リズム・セクションの、キッチリと安定して律動スイングする面と意表衝きまくりのフェイント・アタック的な奇襲遊撃っぽい行き方とを的確微細に使い分けた、圧倒的瞬発力・機動性を誇るニュアンス濃やかなバックアップ、に大いに触発されつつ、松丸(as,ss)の、力強いもあくまで肩肘張らずゆったり伸び伸びと得意ワザの数々の披露に興じきる感じの、節回しはハードだがその息遣いは終始嬉々溌剌としたおおらかささえ漂うアドリブ・プレイが、ひたすら流麗に、ひたすら開放的に冴え渡って清々しい。
→アルトでの、ティム・バーン、ジョン・ゾーン、マーティ・アーリック、ウォルフガング・プシュニック、アーサー・ブライス、或いはスティーヴ・リーマン辺りを通過した、しかし決して模倣的ではないフリー寄りのスピリチュアルなアプローチや、グレッグ・オズビー、スティーヴ・コールマンもしくはケニー・ギャレットにもどこか通じるダーク・ミステリアスにしてパッショネートなファンク型ブロウ、そしてソプラノによる、リーブマンやショーターを想起させはするが似ているわけではない妙なる按配の遊泳フレージングなど、極めて自由超脱でさりげなくワン&オンリーな卓越した至芸がバツグンの生鮮度・清新さをもってアザやかにクリーンヒットを連発しており、見事。これは爽快だ!!!
01. Harim Tok (for West Papua) [Kei Matsumaru]
02. Ignorance Is Bliss [Kei Matsumaru]
03. 虫籠と少年 [Shun Ishiwaka]
04. interlude | ˈkænsl̩? (as & ds duo)
05. It Say, No Sé [Kei Matsumaru]
06. 霖雨 [Kei Matsumaru]
07. 夏は短い [Shun Ishiwaka]
08. interlude | kji̥ɕikã̠ɴ (as & ds duo)
09. 暮色の宴 [Hideaki Kanazawa]
10. When We Meet Again [Kei Matsumaru]
*01, 02, 05, 06, 10 composed by Kei Matsumaru
*03, 07 composed by Shun Ishiwaka
*09 composed by Hideaki Kanazawa
松丸 契 (alto saxophone except 03,06,09,10) (soprano saxophone on 01,03, 06,09,10)
石井 彰 (piano except 04,08)
金澤 英明 (bass except 04,08)
石若 駿 (drums, percussion)
2020年 日本作品
レーベル:
Somethin' Cool
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可能な限りお取り寄せいたします
国内制作・紙ジャケット仕様CD