★硬派一徹で大いに鳴らしたNYブラック・モダン・テナーの強壮覇者:JD・アレン(1972年ミシガン州デトロイト生まれ)の、前作と同じ顔ぶれのサックス・トリオ体制による快調編。
★重心をしっかり据わらせつつ弾みよく跳躍闊歩風に豪快スイングする、太くて分厚くて推進パワー満点なベース&ドラムの猛襲的ビート攻勢、に頼もしく支えられ、捲くし立てられながら、ドスの利いたヘヴィー&ワイドな、骨芯に全くブレなき剛健げトーンのテナーが、苦味走ったシリアスな面持ちでスケールもドデカく全身を揺さぶって切々と喜怒哀楽を体現するかのような、ハードボイルドにして振り幅にも富んだ情魂溢れるダイナミック・ドライヴィング咆哮をどこまでもタフに、屈強に轟かせて雄渾武骨この上なしの堂々たる華を成した、胸のすく敢闘内容。
★硬派サックス・トリオの王道ド真ん中を迷いなくひたすら質実に突き進む、全体にゴツゴツした感触の逞しく猛々しいワイルドネスや男臭さみなぎる真っ向勝負な押せ押せスウィンギン熱演、が好もしい「圧」を伴いつつストロングに展開され、ベース&ドラムの情無用の頑とした(それでいて結構濃やかなニュアンスもこもった)鋼鉄サポートに上手く触発されて、アレン(ts)の、筋骨隆々そうなタフガイらしい強靱さに貫かれると同時に中々哀切な抒情性をも垣間見せる、一聴豪放磊落でいて意外にセンシティヴでもあるアドリブ・プレイが、パワフルかつ含蓄豊かに冴え渡って絶好調だ。
→甘さを排したモーダル・アグレッシヴ或いはダーク・バピッシュな暗黒っぽいテイストの、ハード・ドライヴ感にも満ちた荒々しい野獣の如き大立ち回りの重圧アクション・ブロウ!、に問答無用の揺るぎなき真価が発揮されているが、その一方、バラードや歌物辺りではそうした雄々しさと並行して微妙にけだるくしんみりとした憂き寛ぎ小唄色も散見されたり、ブルース的な局面では、こってりアーシーでソウルフルな、腰を据えて地の底へ降りてゆく醸熟(そして漆黒)のコクを満載した芳醇吹奏が、イキ&イナセに悠々とキマッたりなど、基本キャラはあくまで武勇派だが十二分に懐の広さも示された鳴音のあり様は、何とも云えぬ余情に富んでいて説得力も抜群。
1. You're My Thrill
2. The G Thing
3. Die Dreaming
4. Red Label
5. Toys
6. I Should Care
7. Elegua (the trickster)
JD Allen (tenor saxophone)
Ian Kenselaar (bass)
Nic Cacioppo (drums)
2020年1月2日ニューヨーク市のクイーンズ区、アストリアのSamurai Hotel Recording Studio録音
レーベル:
Savant
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CD