★1940年代より活動し、CBエイト(のちにCBナイン)を皮切りに、渡辺晋とシックス・ジョーズ、ジョージ川口のビッグ・フォー、そして自己のコンボ、と常にシーンの第一線で戦後日本のモダン・ジャズ界を牽引する重要な役割を担い続け、1950年代から1990年代にかけて数多くの優れたレコーディングを残した(サイドマンとして参加した録音も膨大な件数にのぼり、またディジー・ガレスピー、ハンプトン・ホーズ、ジューン・クリスティ等々、国外の大物達とも多数共演した)、ホーキンスやロリンズ、後にはコルトレーンの成果をも踏まえた力強くも情味深いブロウにワン＆オンリーの濃厚な魅力を発揮する本邦モダン・テナーサックスの最高峰名手：松本英彦(1926年岡山県生まれ、2000年死去)の、本盤は、自己のカルテット(w./市川秀男-p,井野信義-b,日野元彦-ds)を率いての円熟した名演が聴かれる、1976年9月東京録音の傑作(TBM-74)のCD化・新装再発版。
★一音一音・一吹き一吹きを丹念に、端正に響鳴させる、まろやかな柔らかみや流線形っぽいスムースさと、キュッと引き締まったシャープネスやソリッド感、張り&キレ、が渾然一体化したニュアンス濃やかで何とも味わい深い、そして豊かな包容力を感じさせる旨口トーンのテナーが、親しみやすくも奥行きに富んだ哀愁の歌心表現と、硬派で渋い伝統的バップ&ブルース由来の吟醸フレージング、とを自然に掛け合わせた巧まざる滑脱スインギー・ブロウを流麗かつ中々センシティヴに繰り出して、さすが十二分に熟成された悠々たる華を成し、また、フルートに持ち替えての落ち着いたクールなリラクゼーションとアーシー&ソウルフルな熱さ・濃さの入り混じった劇的プレイや、骨太く歯切れのいいストーン・タッチでモーダル・エネルギッシュにワシワシ追い迫ってくるピアノの勇猛奮戦、もばっちりテイスティー・グルーヴィーに馨しい彩りを添えた、全編至極真っ当なストレートアヘッド快演の連続でスカッと清々しく昂揚させ、芳醇なウマみを満喫させてくれる会心打内容。
★徹頭徹尾キャッチーな歌謡フィーリングと雄大でダイナミックなスイング感の表出を何より大切にした、ブルース色も満点な70年代ハード・バップの王道ド真ん中を突き進む、大衆娯楽指向の「気さく人情肌リリカル・アクション演奏」が嬉々として晴れ晴れと展開され、和気あいあいの親密さとおおらかな開放感に溢れた明朗エンターテイニングこの上ない道程の中で、松本(ts)の、絶えず余裕を保持した肩肘張らない自然体のたおやかさと、背筋をピーンと伸ばして前のめりに突撃疾駆するイナセな猛々しさや威勢のよさ、が破綻なくすんなりと並立したノリノリの潤滑ドライヴィング吹奏が、こってりコク深くも朝飯前の軽やかさで冴え渡っており、全く見事。
→ゆったりと大きく渦巻きウェイヴを描くような、悠然と構えたドライヴ感一杯にしてマイルドな丸みある純正ハード・バップ的ブルージー・メロディック節と、コルトレーンに幾分か接近した音数の多い、忙しなくモーダル・パッショネートに走り回るが如き執拗なる熱血ダイナミズム表現、とを的確に使い分け、或いは細かに融和させて溌剌と歩を進めてゆくその、一貫してブレなくズッシリと重心・腰の据わった一音たりともハズさない、全ての吹音に揺るぎない確たる必然性〜説得力を感じさせる鳴動の様、醸し出される熟成感やゆとり、豊饒なる風格は絶品で、加えてバラードにおける、雄渾さの内側から垣間見せるタフガイのナイーヴで朴訥な嘆きや疲労感、けだるさ、といった趣がまた瑞々しい妙味。
1. デューク・デイズ
2. あなたは恋を知らない
3. チェイシン・ザ・ブルース
4. ライトダウン・ステップ
5. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
6. タイフーン
松本 英彦 (tenor saxophone except 2) (flute on 2)
市川 秀男 (piano)
井野 信義 (bass)
日野 元彦 (drums)
1976年9月13日,24日東京録音
(STEREO)
顔説:いソノてルヲ
レーベル：
Craftman Records (
【three blind mice Supreme Collection 1500】)
在庫有り
国内制作CD
▼メーカーからのコメント▼
★three blind mice Supreme Collection 1500
2020年8月19日より2021年2月24日まで
毎月5タイトル、計35タイトル連続リリース。
