★1980年代から活躍し、アルバムもコンスタントに発表してきたパワーみなぎる個性派女性アルト(&ソプラノ)サックスのヴェテラン覇者:
早坂紗知(1960年東京都生まれ)の、毎年恒例になっている2月26日のバースデイ・コンサート、その2019年開催時の模様(at江古田Buddy)を捉えたライヴ・アルバム。
★早坂(as,ss)と夫君:永田利樹(b)並びに息子:Rio(bs)から成るファミリー・バンド=TReS(トレス)を軸に、早坂とは同じ誕生日の山下洋輔(p)が例年通り加わるといういつもの趣向だが、今回は山下洋輔トリオの結成50周年に因んで更に森山威男(ds)も参加した、強力緊密クインテット体制による演奏。
★鋭く絞りの利いた熱く切迫力溢れるワイルド・トーンのソプラノが、ひたすらアグレッシヴ&エモーショナルに全力疾走し、燃え尽きて悔いなし!といった感じで獰猛激烈この上なく吠え、叫び、慟哭し、或いはまたビシッと堅固に骨芯の通った硬質で筋骨隆々げな鳴り様を呈するアルトが、これまた執拗苛烈に全身全霊で暴れ回るが如き大咆哮を轟かせて、尋常ならざる圧倒的な華を成し、これに負けじと岩石のようなタッチで不協和音の絨毯爆撃をこれでもかとカマしまくる破壊力満点のピアノや、キレ味シャープでスピーディーかつ野獣めいた凄味を露わにドシャバシャと大音量で情け容赦なく攻撃してくる屈強なドラム、重厚肉太でブオブオと低音を震撼させるバリトン、勢いよく弾み跳ねるハード・ドライヴ感覚とブルース由来の渋い旨味に満ち満ちた敏活ベース、らも一切の手加減なしにグイグイ追い上げてきてそれぞれに濃い存在感を堂々揮いきった、どこまでもタフ&エネルギッシュなブレのない完全燃焼ぶりでスカッと壮快に昂揚させてくれる会心打内容。
★概ね前半はスピリチュアル系フリー・ジャズに寄ったアナーキーで過激な体力勝負の大暴れ攻勢!、的行き方を見せ、中盤以降はモーダルなハード・バップ色強めのストレートアヘッド路線=ダイナミック・ブルージー趣向っぽい展開にシフトするが、全編を通じて、強硬で激しい面もあるものの一貫して取っ付きやすい人情味を絶やさず風通しもよさそうな、おおらかで開放感ある娯楽アクション活劇、風の趣が堅持されていて、異形で超ヴァイオレントな場面にあってさえ、すんなり感情移入できるあくまでエンターテイニングなスペクタクル世界が力強く明快に形作られており、胸のすくような爽やかな興奮と感動にウキウキ浸れる愉しい道程に仕上がっている。
★早坂(as,ss)の、極めてパワフルでタフネスみなぎった、スピリチュアルに煮えたぎったりバピッシュ&ソウルフルにド直球で軒昂覇気を吐きまくったりの、気合超充実の敢闘がとりわけ格別の清々しさを伴って傑出しており、また、山下(p)や森山(ds)の生々しい鮮烈な鬼気と余裕や貫祿を併せ持った立ち働き、Rio(bs)のドスを利かせてモーレツに迫る前のめりの突進、更には、只一人絶えず落ち着いてウォーム&テイスティーにスイングする永田(b)、らの奮戦にも各々しっかり得難い妙味がある。
1. My Favorite Things
2. Chiasma
3. Moanin'
4. Talk
5. Hush-A-Bye
早坂 紗知 (alto saxophone on 2, 3, 5) (soprano saxophone on 1)
Rio (baritone saxophone on 2, 3, 5)
山下 洋輔 (piano)
永田 利樹 (bass)
森山 威男 (drums)
2019年2月26日東京・江古田 Buddyでのライヴ録音
レーベル:
Nbagi Record
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