★また一段とヴェテランの貫祿も増してきたお馴染み、ピアノ弾き語りの人気カナディアン歌姫:キャロル・ウェルスマン(1960年カナダのトロント生まれ)の、今回は南米の猛者連を含む強力な精鋭コンボ体制による本格的なラテン・アルバム。
★ダンサブルで弾みよくも重厚感並びにコクのあるラテン・スタイルのリズミカル・バピッシュ演奏に乗せて、落ち着いた中音域の艶やかな、そして適度に肉太さや芯の安定性を感じさせる馨しき美声による、リズム感抜群でノリにノッた卓抜なる南国的グルーヴを体現しながら、同時に、歌詞の情緒やメロディーの美を決して損なうことなく丹誠こめて丁寧に歌曲の情景を描写してゆく、基本は優しく端正なリリカル指向の浪漫漂う滑脱演唱が、流れるように軽やかにきららかな華を成した快演内容。
★インティメイトで趣味のいいラウンジ的リラクゼーションと、ラテンならではの陽気で賑々しくおおらかな躍動感や開放感、とがおのずと一体化した、1曲1曲は結構簡潔な尺にまとめられる快調テンポの瀟洒で歯切れよい、晴々朗々たるハートウォーミング・エンタテインメント指向の親しみやすさ格別な行き方、が愉しげに続き、インスト面の、主流派バップ・ジャズ・タイプの渋い旨味や骨のあるダイナミックなノリや分厚さを十二分に備えた、手加減抜きの迫真敢闘も殊の外テイスティー・グルーヴィーに濃い魅力を際立たせる中、ウェルスマン(vo)の、一貫してリキみや衒いのない自然体調子の誠実そうな筆致をもって、どこまでも伸び伸びスイスイと波乗り感覚で流れ踊るが如く歌唱を楽しむ風な、スムース・スウィンギンでマイルド・テンダーそして包容力ある唄い回しが、中々余情豊かに冴え渡って何とも爽やかだ。
→舞踏的リズミック・ビート感を事も無く軽々とごくナチュラルに表して涼しげなイキのいいグルーヴ節(一部スキャット技も的確に盛り込まれる)もさすが見事だが、どんな局面にあっても肩の力は抜けていてあくまですんなりサラリと無理なく自然にリズムに乗った、寛ぎと洒脱さある柔和な語り口が巧まず保たれており、バラード・コンセプトっぽいリラクシング&ムーディーな趣向における、細やかな機微・ニュアンスに富んだ耽美的でロマンティックなしっとりテイストの、語りかけるようなスウィート・フレージング、の端麗さや含蓄深さがこれまた絶品。
01. 貴方と夜と音楽と
02. テイスト・オブ・パラダイス
03. ファム・ファタール
04. ダンス・ウィズ・ミー
05. タイム・トゥ・ダンス・チャ・チャ・チャ
06. イエスタデイ
07. アイランド・ララバイ
08. アイ・シンク・オブ・ユー
09. アイ・ウォント・ダンス
10. レヴェレイションズ
11. イエスタディ・アイ・ハード・ザ・レイン
Carol Welsman キャロル・ウェルスマン (vocal, piano, produce)
Justo Almario ジュスト・アルマリオ (tenor saxophone, soprano saxophone, flute)
Rene Camacho ルネ・カマチョ (bass, background vocal)
Jimmy Branly ジミー・ブランリー (drums)
Joey de Leon ジョーイ・デ・レオン (conga, percussion, background vocal)
Juan Luis Guerra フアン・ルイス・ゲラ (guest vocal on 04)
Oscar Hernandez オスカー・ヘルナンデス (arrangement, produce)
2020年3月米カリフォルニア州ロサンジェルス録音
レーベル:
Muzak (fab.)
在庫有り
国内制作CD