●クラウン-Ninety Oneや当Spice Of Lifeよりのビッグ・バンド作品群で高い評価を得て来、モンク・コンペティションの2005年度作曲部門で優勝も果たした才媛:守屋純子の、今回は錚々たる顔ぶれの6tetによる一編。2006年8月ヴァン・ゲルダー・スタジオ録音。
★各人がそれぞれ突出した個性をフル発揮したダイナミックでキレのあるアクション・ソロの競合、その活況ぶりに生々しく昂揚させながら、トータル的にはスッキリとスマートに整った、無駄のないドラマティックな流れに自然と落ち着かせて見せる、という、アレンジ派・コンポジション派らしい周到面とブローイング・セッション的な迫真のエキサイトメントがバランスよく並立した濃密内容である。
★新主流派モード・ジャズの正統スタイルに則っての、リズムや情趣面の緩急起伏にも富んだ、音の輪郭は非常にクリアーでシャープな歯切れのいい劇的邁進が続き、趣向を凝らしたカラフル&スタイリッシュな多層多角的オーケストレーションの興趣や、意外性ある激動的ストーリー風の構成意匠、も魅力たっぷりに際立ちながら、しかしリアルに華やいだ見せ場は個性伯仲のソロ・リレー・バトルにほぼ集中し(ピアノ・ソロによる味わい深いテーマ演奏シーン、といった変則演出もあり)、基本的にはごく明快に、ストレートに今様ハード・バップの快演を楽しませてくれる。
★個人芸面では→、ただならぬ鋭い覇気をみなぎらせつつ超アグレッシヴに突撃猛進するC・ポッターのアクション咆哮や、ピリッとした硬質でスピーディーなバップ・トランペットの神髄をフレッシュに顕示するR・カイザー、陰影濃いパーカッシヴ・タッチでハンコック・タイプの渋い立ち回り技を毅然と紡ぐハードボイルドな守屋、がとりわけ鮮烈に好インパクトを残す、緻密にして平明な、一つ突き抜けた晴れやかさを感じさせる充実の美味作品。
1 Playground
2 Through Times Square,
3 Flowers
4 The First Step
5 I Will Wait For You
6 Four In One
7 Spring
8 Dancing Puppet
9 Homecoming
10 East Side,West Side
守屋 純子 (piano)
Ryan Kisor (trumpet)
Chris Potter(tenor saxophone,soprano saxophone)
近藤 和彦 (alto saxophone,soprano saxophone)
Ed Howard(bass)
Victor Lewis(drums)
2006年8月 RVG STUDIO 録音
在庫有り
デジパック仕様CD