★福岡県北九州市を本拠に活動し、過去ベースの渕上貴大のアルバムでも冴えた腕前を揮っていた、キャリアある女性ピアニストの、本盤は、東京へ赴いて多忙な人気ベーシスト:吉野弘志と組んだ初リーダー・アルバム。2006年3月三鷹市芸術文化センター「風のホール」での録音。編成はデュオを基本に途中2曲で吉見征樹のタブラが加わる。曲は本人の自作。
★エヴァンスやキース、ハンコックらの成果を踏まえたリリカル派の正統的スタイルに則りつつ、独特の牧歌的スピリチュアリティやフォーク・フィーリングも加味してマイルドに詩情を活写する、均整のとれたメロディアスなプレイが爽やかに絵を飾った明快テイスティー編である。
★鋭敏にしてウォームな、ドライヴ感溢れる力強いベース鳴動に導かれて、リズム・パターンやテンポは様々に変わるも概ね一定のリラクゼーションを保った、歯切れよくも温和なムードの抒情的行き方が続き、主役ピアノの、芯のしっかりした潤いと透明感ある中々端正なクリアー・タッチでの、歌心を満載しつつ緩急のメリハリも自然につけられた、ごく親しみやすい正攻法のロマンティックな語り口がスッキリと明晰に冴えている。
★文体の根底にはモード、バップ、ブルースの伝統に根ざした躍動的グルーヴ醸成の理念をキッチリと息づかせながらの、フォークまたはラテン系統の歌謡フィーリングを味つけの肝としたおおらかで甘美、そして開放的な、ちょっと吟遊詩人っぽいスピリチュアルめのフレージングに独自の真価=とりわけ清新な旨味が発揮されており、一方、モンク風の変則リズミカル技や、オーネット似のカラッと明るい半抽象的アクション、ガーランドっぽい粋なファンキー・ブルース節、などの転回にも中々瑞々しい魅力がある。包容力に満ちた温かくも雄渾なベースの躍動もこってり頼もしげに際立った、ハートフル&グルーヴィーな作品。
1 La Luz De La Luna y Estrella
2 Maroria
3 Monky Song
4 Spanish Heliolatry
5 Little
6 Yellow Birds'Dream,
7 Ornetty
8 A La Carie
9 Ma Non Non
10 La Luz De La Luna y Estrella
11 Turtle Neck
12 My wonderful Life
13 Song of DEX
吉岡 かつみ(PIANO,作曲)
吉野 弘志(BASS)
吉見 征樹(TABLA on 2tunes)
2006年3月31日 東京都三鷹市芸術文化センター「風のホール」での録音
在庫有り
国内自主制作CD
