フリーやノイズ系に真価を発揮するラジカルな進歩派ギターの急先鋒であり、また、映画やTVドラマのサントラも多々手掛けるなど、オールラウンドなコンポーザー&アレンジャーでもある才人:大友良英(1959年神奈川県横浜市生まれ)の率いる、1999年に始動した大友良英ニュー・ジャズ・クインテット=ONJQの、本盤は、類家心平(tp)&今込治(tb)の加入した新体制による、2018年ツアー時のライヴ音源を集めた力編。空を切り裂きつんざくノイジーなギター音が荒々しくワイルドに轟き渡って、凄味ある濃厚なる存在感を顕示し、苦味走った硬質さの中にブルースの旨味をも潤沢に含んだトロンボーンや、アブストラクトとバップの両極端を自在に往来するピリッとスパイスの利いたトランペット、らも燃えに燃えた暴れ躍りっぷりで鋭く彩りを添えながら、グループ全体がちょっとヤバイぐらいの圧倒的疾走感をもって問答無用にガンガン突撃してゆく、野獣性もみなぎったエキサイティングこの上なき敢闘内容。荒削りでゴツゴツしているがしかししっかりダイナミック・グルーヴィーにスイングする、ドラム&ベースのハード・ドライヴ感も満点な力強い躍動、に頼もしくプッシュされながら、端麗美とヒズみノイズ傾向とを表裏一体化させた大友(g)や、ある時はテイスティー・バピッシュ、またある時は険しい表情でソリッド・ビターなフリー流儀に徹しても見せる類家(tp)、おぼろで陰影深くもアーシーな霧笛を鳴らすが如き今込(tb)、らが腰を据えて伸びやかな活躍を見せる、全般に、コンテンポラリーなモーダル・バップ・ジャズと今日流のフリー・ジャズ、の間を烈しく自在に行き来する風な「スピリチュアル・アクション」型のエネルギッシュ大熱演、が屈強軒昂に、タフ&ストロングに堂々展開され、一聴荒っぽいようでありつつピタリと息の合ったカラフルなアンサンブルが精悍凛然と響き渡って聴く者のテンションも否応なく上がってきたところで、大友(g)を筆頭とする銘々の悔いなく奔放苛烈に完全燃焼するリアル・インプロヴィゼーション大会が、超スリリングに灼熱の盛り上がりを見せて全く壮快だ。とりわけ大友(g)の、得意のノイズ然とした異形轟音の掻き鳴らし攻勢から、現代版ジャズらしいメロディックな大立ち回り技、ファンク・ロック系グルーヴ物っぽい哀愁とやんちゃさない交ぜのノリノリ節など、水を得た魚の如く持ち技全開で縦横無尽・変幻自在に暴れ回る嬉々とした愉しげな激動の様が、ただならぬ鮮麗さ・濃密さでその確たる魅力を際立たせており、また、生粋バッパーかと思っていたら実はわりかし抽象派・フリー派の辛口即興にも揺るぎないところを見せる類家(tp)や、メンバー中最もダウン・トゥ・アースでソウルフルなブルース色の強い今込(tb)、辺りの奮戦もすこぶる快調。
1. Flutter (Otomo Yoshihide)
2. ID-10 (Otomo Yoshihide)
3. Lonely Woman (Ornette Coleman)
4. Hat & Beard (Eric Dolphy)
5. Straight Up and Down (Eric Dolphy)
6. Swee-Pea 〜 There (Wayne Shorter 〜 Otomo Yoshihide)
ONJQ:
大友 良英 (guitar)
類家 心平 (trumpet)
今込 治 (trombone)
水谷 浩章 (bass)
芳垣 安洋 (drums)
2018年ライヴ録音
レーベル:
F.M.N. Sound Factory
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国内制作・紙ジャケット仕様CD