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フランスの若手ピアニスト:トマ・マイェラの、トリオによるセカンド・アルバム。
★固く骨太で鋭角的キレがあり、かつまた潤いや旨味も充分に備わった、一つ一つの打鍵は極めて精確巧緻なストーン・タッチのピアノが、バップ&ブルースの伝統的文法に則ったソリッド・スクエアーで中々アーシーな、殺陣傾向と唄性をバランスよく並立させての正攻法プレイを溌剌と繰り出して、何とも粋にイナセに華を成し、一方、ツボをバッチリ心得て堅実に律動スイングするベース&ドラムの職人芸的助演も、抜群のグルーヴ(並びに適度な迫真スリル)を提供して、頼もしげな魅力を揮った、全体を通じ明快で取っ付きやすい大衆派エンタテインメント指向の行き方が貫かれて、スカッと清やかに愉しませてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感とブルージー&バピッシュな渋い吟醸味の体現、にシンプル・ストレートに徹しきった、気さくな人情味溢れる極めて真っ当オーソドックスこの上なき娯楽活劇的ハード・バップ大会、が嬉々として迷いなくもブレなく連続し、ベース&ドラムの安定した鉄板のノリを確固と醸成する誠に心強いサポート、にしっかり支えられながら、マイェラ(p)の、バップ・イディオムとファンキー・イディオムを終始変らず拠り所として伝統に深く根を下ろした、ちょっと昔気質とも思える好もしい燻し銀的なアドリブ奮戦が、イキイキと精悍に、勇み肌っぽくテイスティー・グルーヴィーな冴え渡り様を見せて、実に快調だ。
★立ち回りの型をキッチリ尊守して歯切れよく堅牢に凹凸を描く硬質バップ・アクションや、高音部の玉転がしタッチやブロック・コードを活かしたイキな寛ぎ小唄風のファンキー・ソウルフル節、を最たる得意ワザとして連発する一方、バラードでは結構現代感覚に富んだスマート&スタイリッシュなロマンティシズム表現を見せたり、時にはモード色を加味した、内に情熱を秘めるハードボイルドで凛々しい雄猛アプローチで攻めたり、などの転回もあるものの、そうした文体もソロ・パートが進むにつれていつしか手癖っぽくファンキー・フレージングへなだれ込んで行ってしまう、といった辺りの(隠しきれぬ?)生粋バッパーたる本性の顕れ様がこれまたゴキゲンな魅力。こういうワンパターンなら大いに美徳、大いに痛快。
01. Don't Mention It 6:26
02. Bonaire 4:54
03. Midnight Song 7:38
04. Devil's Scare 4:05
05. Late Summer Waltz 4:56
06. La Mer (Charles Trenet) 5:58
07. Lolo's Drivin' 5:29
08. Morning Ballade 6:37
09. Kontarena 5:44
10. Dial “T” For Tommy 3:51
Thomas Mayeras (piano)
Nicola Sabato (bass)
Germain Colet (drums)
2017年9月 フランス、ロシュフォール=シュル=メール(ロシュフォール)=Rochefort-sur-Merのl'Alhambra Studios 録音(2019年フランス作品)
レーベル:
Cristal
在庫有り
三つ折り紙ジャケット仕様CD