★鬼才:高柳昌行(g)(1932年旧東京府の芝生まれ、1991年死去)の主導するライフワーク的なユニット・プロジェクト、ニュー・ディレクションの、これは山崎比呂志(ds,per)とのデュオ体制による、1971年4月25日高崎のFreedomにおけるライヴの模様を捉えた未発表音源(高柳自身の手により編集の施されたテープが元になっている)、の初ディスク化。
★迫真のフリー・インプロヴィゼーション全4トラック。妖しく不気味にガサゴソ蠢きながらしかし同時に、何か秘境の舞踏儀式のようでもある情魂のこもったグルーヴをも体現するドラム或いはパーカッションと、これまた怪異でノイジーでありつつ結構アンビエントっぽくもある心地よい幻覚トリップ感を伴ったシュール即興を飄々と、神出鬼没風に繰り出すギター、とがちょっと隠微に語らい、リアル・アクシデンタルにインタープレイ交感を展開して、極めてアブストラクトである反面、力強いエモーションなど情緒性もしっかり宿した、スリルと昂揚感抜群で実に感動的な異界めいた音景色を濃密に描き出した敢闘内容。
★トラック毎に文体やサウンドのあり様が刻々多彩に変移する、即ち、一種のフューチャー・ジャズ的な夢幻空間を彷徨うが如き快適テクノ型音響がきめ濃やかに織り成されたり、ディレク・ベイリー〜インカス系とかにも通じる、甘さ&妥協を排したカキーン!コキーン!シャカシャカ!とひたすら奇異頓狂に、硬質かつ決して予断を許さない抽象純度超高めの鳴動に粛々と終始して見せたり、かと思えば、(例えるなら)ブレッツマン辺りのパワー・ミュージック〜野蛮路線をエレキギターに置き換えたようなヴァイオレントでワイルドな問答無用の獰猛大攻勢が誠にタフに決め込まれたり、と、次から次へと変幻自在で奔放苛烈な悔いなき完全燃焼のハイテンション大熱演が連続して、息つく間もなく興奮させられっぱなしだ。
★とりわけ、90年代以降ぐらいのちょっとサイバー・パンクなアンビエント・テクノ系(音響派?)サウンドを先取りした感じの、ナイトメアーな#1に格段の新味を感じさせる他、ベイリー型地下実験風の#2、大暴れ野獣路線〜バーバリズム路線(ロック・ギターにもどこか通じるところがある)の#3、そして#2と#3を併合したような長尺の#4、と、各トラックそれぞれに瑞々しく濃い魅力が詰まっていて、文句なく鮮麗なる充実編に仕上がっている。
1. Black Picture (12:02)
2. Double Precision (6:09)
3. Alt Freedom I (12:36)
4. Alt Freedom III (20:45)
高柳 昌行 (electric guitar, guitar)
山崎 比呂志 (drums, percussion)
1971年4月25日 高崎 (群馬県高崎市?) Freedomでのライヴ録音
レーベル:
Jinya Disc
在庫有り
国内制作CD