★また一段と熟味も増してきた個性的進歩派コンテンポラリー・ギターのヴェテラン名匠:ジョン・スコフィールド(1951年オハイオ州デイトン生まれ)の
、初となるECMでのリーダー・アルバム、=スティーヴ・スワロウ(elb)(スワロウは凡そ50年近くに渡るスコフィールドの師匠であり友人である)&ビル・スチュワート(ds)との緊密オールスター・トリオによる一編。
★クッキリしたクリアネスとダーク・スモーキーな濁り感もしくはヒズみっぽさが渾然一体化した、中々クセはあるが味わいたっぷりなトーンのギターが、徒然気ままなフリーハンド・スケッチに伸び伸び興じるようでありながら、マイルドな歌心や粋で渋いブルース・テイスト、そして特有のシャープでクネクネしたファンク・グルーヴ色、といった取っ付きやすくおいしさ格別な要素も巧まず自然に多々投入・体現した、バランス絶妙のスリリング&ビタースウィートな滑脱躍動節をあくまで軽やかに綴って、何ともイナセで瑞々しい華を成し、一方、抑えを利かせてブルージーにウネり波打つエレキベースや、変幻自在に音像を転じつつソリッド&カラフルに精確なビートを刻むドラム、らの落ち着いた中に妖しい起爆感を孕んだ瞬発力抜群のサポート、もこれまた生鮮にサスペンスとノリを塩梅よく高めて頼もしい魅力を放った、全編歯切れよいグルーヴィーさと生々しくアクシデンタルな緊迫度の共存した道程に、快調にハマれる好演内容。
★4ビートで至極真っ当に驀進スイングするわりかしストレートアヘッドなハード・バピッシュ路線(意外にもこれがメイン)あり、浮遊感と牧歌性が清新にクロスする甘美なバラード趣向もあり、の、緩急メリハリも上手い具合に利いた終始一貫して親しみやすい旋律性とバップ由来のシャキシャキしたノリのよさ(加えてブルースの旨味)の絶えぬ、明朗かつおおらかでさえある快活な行き方、が愉しげに続き、結構威勢はいいがワンポイントの余裕を残した懐深げな道筋が形作られる中で、スコフィールド(g)の、肩肘張らず自然体で抵抗なくスイスイと波に乗り続ける風な、衒いのないハートフルなアドリブ・プレイが、さすが十全に熟成された芳醇なる冴えを見せて素晴らしい。
→今回はジョンスコ流の気さくで分かりやすい「リリカル・バップ」的なアプローチに確固と主眼が置かれていて、キャッチーな人情味と律動的グルーヴ感に溢れた正攻法勝負の旨口妙技にひたすら心地よく浸らせてくれるが、と同時に、音色そのものから発散される独自のトゲっぽい感触や、時折手癖的に顕れるややヒネクレたファンク・アクション型小節、などがピリッとしたスパイス効果を成して、フレッシュなスリルも途切れることがなく、そのさりげないナチュラルなバランス感覚は絶品だ。概ね裏方に徹しつつも要所要所で端麗豊饒によく歌うスワロウ(elb)の活躍も光る。
1. She Was Young
2. Falling Grace
3. Portsmouth Figurations
4. Awful Coffee
5. Eiderdown
6. Hullo Bolinas
7. Away
8. In F
9. Radio
John Scofield (guitar)
Steve Swallow (electric bass)
Bill Stewart (drums)
2019年3月The James L.Dolan Recording Studio(ニューヨークのNYU Steinhardt)録音
レーベル:
ECM
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スリーヴケース仕様CD