★DaybreakやMaxanter、O.A.P.等よりの過去作品群が好評だった、ハーグ王立音楽院の先生でもある、オランダのキャリア豊富な国際派ピアニスト:ユラ・スタニク(1969年オランダのアメルスフォールト=Amersfoort生まれ)の、今回は、オランダのモダン・ジャズ史に偉大な足跡を残した名ピアニスト:ロブ・マドナ(1931-2003)へのオマージュを込めた、トリオ演奏集。
★鋭角なキレのよさと丸みある滑らかさが絶妙に一体化し、またクッキリしたクリアネスとスモーキーなおぼろ感が細かく自然に交錯する、陰影にも富んだ転がりのいい端正なストーン・タッチのピアノが、バップやモードの典型イディオムに則った硬質ダイナミックにしてスマート&ジェントルな気品と洗練味あるアクティヴ節をイキイキと紡ぎ、並行して親しみやすい旨口な歌性やブルース・フィーリングを反映したメロディック・フレーズもふんだんに盛り込んで、哀愁ロマン的情景を自ずと浮かび上がらせ、トータルとしては上手い具合に硬軟剛柔のバランスのとれた鮮麗・清新なる華を軽々成した、その作為なげな自然体の流れるような鳴音のあり様が好もしい会心打内容。
★1曲1曲はわりかし簡潔手短にまとめられた、トントン拍子の快速テンポで小気味よく進む、硬派半分・ロマンティック半分の極めてオーソドックスなスインギー・バピッシュ快演が、精悍溌剌そうに展開され、ベース&ドラムのがっちりツボを心得た手堅くも機動力あるサポートに確固と支えられ、また適度に煽られながら、スタニク(p)の、肩の力を抜いてあくまで悠然と衒いなく巧まざる普段着っぽいごくナチュラルな技を繰り出す、そうした、流れに身を任せてただ呼吸するかのような、滑脱で淡麗なアドリブ・プレイが何とも余情豊かに瑞々しく冴え渡って素晴らしい。
→モード・ピアノの正統らしい固く角張った凹凸を成しながらのグルーヴィーなアクションや、バラードにおけるヨーロッパ耽美派的な繊細幽遠さも微妙にチラつかせた憂き浪漫節、歌物トラックでの折り目正しいエレガンスと寛ぎ小唄的ファンキー・テイストをブレンドした瀟洒なアプローチなど、一貫して何の変哲もない王道芸をひたすら軽やかに、余裕をもって(やや淡々と)披露し続け、しかもどの行き方にあってもケレンなくして一種の雅趣めいた風流な行間含蓄が立ち昇ってくる、という、その謹厳質素でありさりげなく熟成された語り口の粋は見事。
1. Moving Forward (4:27)
2. Onmo (3:23)
3. Soul Eyes (4:43)
4. Second Line (4:48)
5. Early Bee (4:30)
6. I Sing This Song For You (4:38)
7. Who Cares (2:46)
8. Inside Out (5:43)
Juraj Stanik (piano)
Frans van der Hoeven (double bass)
Roberto Pistolesi (drums)
2019年11月2-3日オランダ-ヒルヴェルスムのMCO Studios録音
レーベル:
Challenge
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