★セヴィリアの音楽院でジャズ科(ジャズ・ベースやコンボ・ジャズ)のプロフェッサーも務めるスペインの辣腕ベーシスト:Jaime Serradillaの、人気ピアニスト:Roger Masをフィーチュアしたピアノ・トリオによるライヴ作品(リリースは2014年)。
★ブイーンブイーンと低く太く唸りを立てる力強いベース鳴動に上手い按配でプッシュされながら、端正でクッキリしたキレのある、水晶玉を転がすようなクリーンな、かつ芯のしっかり据わった精巧タッチのピアノが、ロマンティックな端麗メロディー・センスと翳りを帯びた独特の思索性、更には内なる熱い激情、に彩られた、敏活滑脱なモード系躍動型リリカル・タイプの美旋律溢れるプレイをイキイキと紡いで、ブルース由来の旨味にも富んだきららかでシブ凛々しい確固たる華を成した、会心打内容。
★リズム・スタイルは適宜ヴァラエティー豊かに変移する、硬派勇壮にして歌心も充分の、極めてストレートアヘッドな今日流ハード・バピッシュ熱演が精悍軒昂に展開され、ウォームな情味に満ち、また強烈にバネとウネりの利いたSerradilla(b)の雄弁なる立ち働きも随所に浮かび上がって、中々濃い口のストロング・グルーヴィーな好アクセントを成す中、実質、花形主役を担うMas(p)の、ダイナミックで歯切れよく鋭角的に凹凸メリハリを描くも、絶妙にリキみは抜けていて、自然体で意気揚々とメロディアス・スウィンギンな闊歩邁進に興じる風な、巧まずして前のめりの勢いと歌謡性そしてブルース・フィーリングが潤沢に備わったアドリブ活躍が、吹き抜ける青嵐の如くスカッとした卓抜な冴え&映えを見せて、全く爽やか、全くゴキゲンだ。
→ヨーロピアンらしい半ばメディテーショナルでもある仄暗くクールな耽美指向フレージング、にも瑞々しい妙味があるが、どちらかと云うとその本領は、アメリカン・メインストリーム路線に近い、即ち、ファンキーやバップの伝統的イディオムに則った粋でイナセな吟醸筋晴朗アクション節、にこそ遺憾なくフル発揮されている感じがあり、ラテンとタンゴをミックスしたようなホット・アーシーなグルーヴ物っぽい圧倒的盛り上がりを呈するトラックなどを含め、その、ライヴならではの自ずと熱く豪快に猛り、煮えたぎってゆくナチュラル・エモーショナル、ナチュラル・エネルギッシュな作為を排した進撃やまぬ威勢のいい(しかも一切ブレるところのない)鳴音のあり様は、思わずこちらもウキウキ昂揚させられて好感度抜群、説得力も満点。
1. En el Fondo
2. Fith House
3. Kuka
4. Buscandote
5. Bossa Para Voce
6. Dr. Esmi
7. Old Folks
Roger Mas (piano)
Jaime Serradilla (double bass)
Jo Krause (drums)
2013年11月7日ライヴ録音(2014年スペイン作品)
レーベル:
Blue Asteroid
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見開き紙ジャケット仕様CD