★ビッグ・バンド経験も豊富なトランペット&フリューゲルホーンのオールラウンド名手:ボビー・シュー(1941年ニューメキシコ州アルバカーキ生まれ)と、歌伴にも定評があり広範囲に及ぶ人脈の中で多角的に辣腕を揮ってきた抒情派ピアノの逸材:ビル・メイズ(1944年カリフォルニア州サクラメント生まれ)、という、確かな個性とワザを持つ2人がコンビを組んでの(シューは本作では殆どフリューゲルホーンを吹く)、1978年3月&4月ノース・ハリウッドで吹き込まれ、1982年にLAのマイナー・レーベル:Jazz Hounds RecordsからLPでリリースされた傑作デュオ・アルバム(JHR003)が、Fresh SoundよりCD化。
★まろやかでありながら強堅げな張りをも呈したフリューゲルホーン(或いはシャープなキレがあって燦々と光沢を放つようでもあるミュート・トランペット)が、歌心に則った瀟洒でマイルドな、そしてテイスティー・グルーヴィーな親しみやすい抒情的プレイを繰り出し、時には濃い陰影を宿したハードボイルド&サスペンスフルな攻勢にも転じてピリッとさせ、絶妙にメリハリの利いたドラマティックな絵を飾って、かたや、折り目正しく歯切れのいい安定感あるタッチのピアノも、あくまで出しゃばることなく控えめな「伴奏役」的立ち位置で、質素に渋くサポート的振る舞いにほぼ徹し、堅実でいてきめ細かく含蓄余情に富んだ魅力をじんわり放って好印象・好余韻を残す、一貫して明朗で優しくハートウォーミングな誠心こもった妙演の連続で心地よく和ませてくれる、ごく平易にして密度濃い充実内容。
★バラードや歌物をメインとしたインティメイトなリラックス・ムードの、それでいて当意即妙・一触即発に感応し得る鋭くセンシティヴな張り詰め様・研ぎ澄まされ様も同時に有した、生鮮度抜群のリリカル交感がじっくりと展開され、腰を据えて天性のメロディストぶりを遺憾なく発揮する両雄の、肩の力の抜けた自然体でありつつしかし背筋はおのずとピーンと伸びた風な、寛ぎと緊張がナチュラルに融和したアドリブ・プレイが端正かつ華麗に冴え渡って、誠に清々しい。
★シューの、深々とした哀切さやシブ味と、晴朗でおおらかな開放感を併せ持った、包容力ある力強い雄渾なる滑脱ブローイングがとりわけ傑出してアザやかな絶好調の輝き・煌きを示しており、一方メイズの、バップ的ダイナミズムとキャッチーな歌謡性、そして時にはヒーリングっぽいクールなリラクゼーション、等が巧みに掛け合わされた、何げに構成的でもあるストーリーテラーぶりもナイス。
1. It Might As Well Be Spring (Rodgers-Hammerstein II) 5:59
2. Poor Butterfly (Hubbell-Golden) 5:26
3. Yesterdays (Kern-Harbach) 2:59
4. Telepathy (Shew-Mays) 9:32
5. The Gentle Rain (Bonfa-Dubbey) 5:43
6. You've Changed (Fisher-Casey) 4:41
7. Indian Summer (Herbert-Dubin) 5:32
8. Telepathy II (Shew-Mays) 8:39
Bobby Shew (flugelhorn, muted trumpet on 2)
Bill Mays (piano)
1978年3月4日,4月16日カリフォルニア州ノース・ハリウッドのSage & Sound Recording録音
(原盤:Jazz Hounds Records JHR0003 1982年リリース)
レーベル:
Fresh Sound
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