CATFISH RECORDS

★早稲田大やバークリー音大に学び、これまで、助川太郎(g)とのブラジリアン・デュオ:「メヲコラソン」や、スガダイロー(p)との超絶コラボ:「Phase DUO」で、圧倒的な存在感と腕達者ぶりを発揮してきた、個性派にして実力派の女性ヴォーカリスト:EMiKO VOiCE(東京都出身)の、「Carta〜手紙」(2017年発表)に続く今作は、歌伴の名手でも鳴らした関西在住のアメリカ人ピアニスト:フィリップ・ストレンジ率いるトリオをバックにした(アレンジは全曲ストレンジが手がけている)、ストレンジとの共同プロデュースによるスタンダード中心の一編。

★スウィートな潤いや透明感と、力強い張りやキレ、伸びやかさを兼備した、中高音のクール&クリーンな美声による、先ずは何より歌詞とメロディーを大切にした抒情指向の優しいロマンティックな節回しを根幹に据え、転回としてスキャット技などの躍動感溢れるダイナミック・グルーヴィーなアプローチも結構多用して的確にメリハリをつける、何げに振り幅も大きいドラマティックな演唱が爽快かつテイスティーに瑞々しい、そして堂々たる華を成し、一方、瞬発力抜群でアジな機智を感じさせる中々芸の細かいピアノ以下、バック陣のツボを心得つつ機動性にも長けた当意即妙のサポートも、スリリング&ジェントル・スタイリッシュにバッチリ魅力を際立たせた、全体を通じ歯切れよくもじんわりとデリシャスな味わいが広がってゆく濃密内容。

★鋭敏快活なノリのよさとインティメイトな和み感覚が自然に共存した、明朗で親しみやすく小気味のいい、瀟洒味も満点でテンポもよしの遊歩気分な邁進が滑脱流麗に続き、インスト・サイドの渋旨でキリッと背筋の伸びたシャープネスある活躍にしっかり支えられ、刺激されながら、EMiKO VOiCE(vo)の、表情多彩で溌剌としたイキのいい、それでいてリキみはなく巧まざる揺るぎなさ・ブレのなさを保持した練達な歌い回し、〜語り口の妙が、あくまで軽やかに悠々と冴え渡って全く鮮やか。

→敏速さやアクション傾向の強い、半器楽的だったりブルージー・シャウティングだったりの本格派寄りの行き方における、テクニックも極めて高度精確、しかし決して背伸びをするような無理なところや過度な虚飾性のない、どこまでも自然体で流れるような、しかも一本ビシッと骨芯の通ったその筆運びの、「風格美」とも云うべき趣が誠に見事、誠に鮮麗だが、反面、バラードや寛ぎ調での、しっとりと柔和に囁きかけるが如き誠心こもった丁寧な、マイルド・テンダーなフレージングの幽玄深さ、並びに儚さがこれまた格別だ。

01. How My Heart Sings (Earl Zindars)
02. Lover, Come Back To Me (O. Hammerstein II / S. Romberg)
03. Blackberry Winter (L. McGlohon / A. Wilder)
04. Monk's Dream (J. Hendricks / T. Monk)
05. Modinha (V. Moraes / A. C. Jobim) (vocal & piano duo)
06. So In Love (C. Porter)
07. Joy Spring (C. Brown)
08. Whispering (M. Schonberger / J. Schonberger)
09. Love Letters (E. Heyman / V. Young)
10. Baubles, Bangles And Beads (R. Wright / G. Forrest)
11. Isfahan (B. Strayhorn) (vocal & piano duo)
*all arrangements by Phillip Strange

EMiKO VOiCE (vocal)
Phillip Strange (piano)
Tetsuro Aratama (bass except 05,11)
Yohei Saito (drums except 05,11)

2019年日本作品

レーベル：New Truth Records

在庫有り
デジパック仕様CD