★ブラジル出身ながら母国のみならずアメリカやヨーロッパにも頻々と姿を現してグローバルな活躍を続け、Stunt、Arlequim、Biscoito Fino、Atracao等から続々と多数のリーダー作を発表して高い評価と人気を獲得、つい先頃米Arborsから出たケン・ペプロウスキー(cl,ts)とのデュオ・アルバム:「Amizade」も素晴らしかった、とりわけアコースティックの機智&デリカシーある端正なプレイに本領を発揮するブラジリアン・ギターの独創的名手(ヴァイオリニストでもある):ディエゴ・フィグアレード(1980年ブラジルのサンパウロ州フランカ=Franca生まれ)。
★さて本盤は、「Amizade」よりも前に吹き込まれていた(2017年米NY、米NJ、ブラジル)、フィグアレードとはコラボ歴も長い近年人気急上昇中のフランス出身才媛:シリユ・エメ、マンハッタン・トランスファーで鳴らした米ヴェテラン:ジャニス・シーゲル、現在はNYで活動するイタリア出身の逸材:キアラ・イッツィ、という国際色豊かな3人の花形女性ヴォーカリストを各々数曲ずつに迎えてのデュオ趣向を基本とした(ソロ・ギターも2曲)、これがStuntからの4作目にあたる何げに入魂の快編。
★きめ濃やかでニュアンスに富んだ、そして潤いと旨味にも溢れる誠にセンシティヴなトーンのギターが、ブラジリアン・ボッサ調だったりジプシー・スタイルだったりバップ・スイング趣向だったり、はたまたクラシック寄りだったりと、ヴァラエティー豊かでありながらあくまで自然に、なだらかに筆致の変化を見せる、落ち着きや寛ぎを絶やさないメロディアスな抒情指向の端麗プレイを流れるが如く紡いで、瑞々しくも含蓄深い悠然たる魅力をじんわり放ち、甘美で涼やかなしっとり囁き系(エメ)や、より年季っぽさや微妙にシブいしゃがれ感を湛えた本格グルーヴィー派(シーゲル)、清楚でキュートで溌剌としたガーリッシュ筋とパッショネートなエキゾティック傾向の混合型(イッツィ)、と、ゲスト・ヴォーカル陣のそれぞれに個性の異なる伸びやかな活躍も、カラフル&テイスティーに華を添えた、全体を通じ大層フレッシュで爽やかな感動と思わずホッとする温かな安堵とに心地よく包まれる好演内容。
★インティメイトな和気とデリカシーを堅持した、歌心も満点の優しく親しみやすいラウンジ・リラックス路線、とも云うべき誠に快適な道程が続き、ヴォーカリスト達の銘々煌くようなスター性一杯の舞い泳ぎ様も魅惑的に際立つ一方、フィグアレード(g)の、ズバ抜けた超絶ハイテクニシャンでありながら決してそれと意識させない、どこまでも穏やかでしなやかな、そして誠心こもった丁寧な語り口が一定の節度・慎ましさをもって中々鮮麗に冴え渡っており、全く素晴らしい。
→哀愁歌謡情緒の機微・襞(ひだ)を一つ一つ細密に掬い取ってゆくような、この上なく丹念で折り目正しい、しかも結構サバけた簡潔さをも伴ったその筆運びは、極めて余情豊かにして揺るぎなくバッチリ巧緻でもあり卓抜。スウィート・テンダーでクールな儚さ漂うエメ、ウォーム・スモーキーでありダイナミックなスキャット技にも熟練味を顕示するシーゲル、可憐&乙女チックでありながら妖しい情念やエスニックなスピリチュアリティも垣間見せるイッツィなど、歌唱サイドの聴かせどころも充実。
1. Once I Loved (Amor Em Paz)
2. I Could Have Danced All Night
3. You Won't Be Satisfied
4. Whatever Lola Wants
5. Sexta Fiera (solo guitar)
6. Dreamer
7. One Note Samba
8. Gone With The Wind
9. Gee Baby, Ain't I Good To You
10. Like Someone In Love (solo guitar)
11. Nardis
12. Moon River
Diego Figueiredo ディエゴ・フィグアレード (acoustic guitar except 10) (electric guitar on 10)
Cyrille Aimee シリユ・エメ (vocal on 1,2,3,4)
Janis Siegel ジャニス・シーゲル (vocal on 6,7,8,9)
Chiara Izzi キアラ・イッツィ (vocal on 11,12)
2017年1月ニューヨーク,2017年2月ニュージャージー,2017年3月ブラジル録音
レーベル:
Stunt
在庫切れ
可能な限りお取り寄せいたします
CD