★フランス・シーンで活躍し、自己名義コンボの他、Maradato、Vinile、RQQ(Rit Qui Qui)といった企画グループの重要メンバーとしても辣腕を発揮、過去、MaradatoやRQQによるアルバム数作品を出していた、女性テナーサックス奏者:ヴィルジニー・ダイデ(ダイエー?)の、本作は、トランペット(トム・ハレル!)やバリトンサックス、チェロらが出入りするギター入りの変動的コンボによる、全体にアントニオ・カルロス・ジョビンへのオマージュがこめられた、ジョビン曲をメイン・レパートリーとするボッサ・ジャズ的な一編。
★まろやかなスムースさ〜流線っぽさや脱力感と威勢のいいパンチを併せ持った美味トーンのテナーが、ハード・バピッシュな粋で渋い直球型のグルーヴィー感覚に溢れ、かつまた、ボサノヴァ・ミュージック特有のサウダージ・哀愁〜ちょっとけだるい寛ぎ、といった要素もナチュラルに有したひたすらメロディック&アンニュイなプレイ、を軽やか&涼やかに繰り出して中々悠然と柔和かつ瀟洒に華を成し、一方、生粋バッパーになりきってイキイキと舞うトランペットや、ドスの利いた重圧的アタック感満点のバリトン、繊細でメロウ・ムーディーなアコースティック・ギター(エレキに転じる曲もある)、らの活躍も賑々しくカラフル&デリシャスに魅力を際立たせた、全編小気味のいいノリと趣味よきこざっぱりした端正な風合い、そして簡潔さ、で清々しく愉しませてくれる快適内容。
★基本としては正統的ハード・バップ・ジャズの言語で殊更に仕掛けなくブラジリアン・ボッサを演じる、というごくシンプル・ストレートなわかりやすい抒情派路線の行き方が続くが、アレンジ面には曲によってさりげなく様々な意匠が凝らされていて適宜起伏に富んでおり、例えば、色彩感溢れるクールな3管アンサンブルが往年のウエストコースト・ジャズを彷彿とさせたり(と云うよりジェリー・マリガン・グループ的か)、などの瑞々しいアクセント転回も用意されるドラマティックな道程の中で、サイド陣にもまんべんなく豊富に見せ場の振られる群像劇的ソロ・リレーのおおらか&晴れやかな盛り上がり(但し、無駄なく手短にまとまっている)で、大いに沸かせる。
★中でもやはりリーダー:ダイデ(ts)の、ヒンヤリした爽涼さや端麗優美さと、より豪快かつレイジー・スモーキーなやや物憂きリラクゼーション並びにドライヴ感、を縦横に交差させての滑脱ブロウが、清新でいて懐の深い傑出した妙味を放っており、またハレル(tp,flh)の、肩の力を抜いて伸び伸びと自然体のバップ・インプロヴァイザーに徹した泳ぎっぷりも誠に鮮やか。
1. Vivo Sonhando
2. Children's Game
3. Samba Nao e Brinquedo
4. O Barquinho
5. Choro
6. Outra Vez
7. Song For Tom
8. Zingaro
9. Dream Jobim
Virginie Daïdé (tenor saxophone)
Tom Harell (trumpet, flugelhorn on 1, 2, 4 only)
Pierre-Olivier Govin (baritone saxophne, tenor saxophone except 5, 6, 9)
Leonida Fava (guitar)
Agnes Vesterman (cello on 2, 5, 8, 9 only)
Luca Fattonrini (bass except 5)
Donald Kontomanou (drums except 5)
2018年5月,7月フランス-パリのStudio Ferber録音
レーベル:
L'Autre Distribution
在庫切れ 可能な限りお取り寄せいたします
三つ折りデジパック仕様CD
VIDEO