★Cellar Liveよりの一作:「Out In The Open」(2018)が好評を得ていた、出身地のニューヨークを拠点に多角的な活動を続けるテナーサックスの若手実力者:サム・ディロンの、今回は、トリオからセプテットまで次々編成を変転させつつの大熱演が聴かれる、Posi-Toneよりの心機一転ニュー・アルバム。
★一定の重みや分厚さを保ち、かつまた、締まりとドスを絶妙のバランスで併せ持った精悍なトーンのテナーが、流麗滑脱で結構音数多くアグレッシヴでありながら、ドッシリした揺るぎない芯の据わり様をも呈した豪快ブロウを澱みなくパワフルに繰り出し続けて、スケールもデカい雄渾なる華を成し、シリアスな硬質さと耽美性の間を的確に往来するピアノや、ピリッとしたキレ味シャープなトランペット、熱いパッションがハジけるアルト、ウォーム&ソウルフルなトロンボーンら、サイド陣の活躍もそれぞれにおいしさ満点の多層的・重層的彩りを添えた、全体を通じ勇ましく壮烈な昂揚感と練り上げられた旨味を存分に堪能できる敢闘内容。
★鋭さ・逞しさが生々しく爆発するかのような、硬派勇猛で意気軒昂そうな、それでいて歌心にも事欠かないストレートアヘッド指向の雄々しき現代ハード・バップ熱演、がひたすら凛々しく歯切れよく毅然げに展開され、リズム隊のばっちりツボを心得つつフェイント力にも長けた機動的・遊撃的サポートに上手くノセられて、ディロン(ts)の、迷いなくブレのない真っ向勝負のダイナミック&アタッキングな必殺大立ち回りが、朗々にして中々強靱に冴え渡って鮮烈だ。
★グリフィン〜コルトレーン系統の切れ目なき渦巻き〜スクリュー型っぽい、猛々しく凄絶にたたみかけ、攻め立てるかの如き燃えに燃える超タフで武骨なモーダル・アクション咆哮!、を得意の根幹としてエモーショナル&パッショネートに迫り、聴く者を圧倒し、理屈抜きで大いに興奮させてくれる一方、やや寛ぎめの趣向における、音数を絞ってのデクスターとかにも通じる直線的和みフレージングや、バラードorボッサ調でのマイルド・テンダーな牧歌的メロディック節、辺りにも瑞々しい妙味があり、興趣はさりげなく多彩。加えて、2曲に登場するマイケル・ディーズ(tb)の、温かな人情味とダウン・トゥ・アースな醸熟のコクに溢れた悠々たる芳醇プレイもズバ抜けて光っている。
1. Force Field (S. Dillon) 5:20
2. Go For The Jugular (M. Dease) 5:03
3. Straight Up And Down (C. Corea) 6:20
4. Shift (S. Dillon) 5:30
5. Two Part Problem (S. Dillon) 5:41
6. Flight Of Mind (H. Whitaker) 5:59
7. Hit It (S. Dillon) 5:53
8. Marionette (L. Jansson) 7:27
9. Dexterity (C. Parker) 3:42 (ts-b-ds trio)
Sam Dillon (tenor saxophone)
Max Darche (trumpet on 2, 3, 4, 7)
Michael Dease (trombone on 2, 5)
Andrew Gould (alto saxophone on 2, 3, 4, 7)
Theo Hill (piano except 3, 6, 8, 9) (electric piano on 3, 6, 8)
David Wong (bass)
Anwar Marshall (drums)
2018年6月24日NYブルックリンのAcoustic Recording録音
レーベル：
Posi-Tone
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見開き紙ジャケット仕様CD
