★ドスもバッチリ利いた現代J-ジャズ界の要人=顔役の一人、オールラウンドなモダン・ベースの凄腕覇者:安ヵ川大樹(1967年兵庫県西宮市生まれ)。自身が総帥を務めるこのD-musica/D-neoレーベルから、種々様々に趣向を違えての気合の入ったアルバム群をコンスタントに発表して大いに気を吐いてきたが、今回は、過去にも度々組んできた個性派リリカル・ピアノのトップ才媛:西山瞳(1979年大阪府生まれ)、並びに、90年代末期より首都圏シーンで活動し、リーダー・アルバムも2006年以来既に9作品(配信オンリー含む)をリリース、また西山瞳とのデュオ・コラボも地道に続けている女性ヴァイオリニスト:maiko(兵庫県神戸市出身、京都市立芸術大学音楽学部卒業)、という独創肌の女性アーティスト2人を迎えたトリオによる一編。
★中々強烈にバネとコクとウネりの利いたベースが、重低音をイキイキとハジき鳴らして闊達雄弁に躍動し(或いはしなやかな弓弾きで太い波を描き)、実に頼もしく基底音響を形作る中、歯切れよくも流れるような滑らかさ・潤沢さで清やかに美メロを歌い続けるロマンティックなピアノや、室内楽っぽさとキャッチーな歌謡性を共存させつつ壮麗荘厳に、そしてエレガントに力強くうねり泳ぐヴァイオリン、らがそれぞれ何ともきららかに華を成してゆく、ハートウォーミングでいて同時にエキサイティングな昂揚と感動に満ちた会心打内容。
★バピッシュな現代リリカル・ジャズらしさとチェンバー・ミュージック傾向をバランスよく併せ持った、と云うよりザックリ捉えるなら概ね、安ヵ川(b)は泰然とオーソドックスなジャズの道を行き、maiko(vln)は厳かな品格を湛えた室内楽寄りのアプローチをメインに据え、西山(p)は孤高とも云うべき独自のポエティックでロマネスクな「西山路線」を超然と歩んでさすが確固たるところを見せる、といった感じの、カラフルで多重層的であり、それでいてさりげなく3者が阿吽の呼吸でばっちりマッチしてもいる、あくまでメロディアス指向の落ち着きと温もりある親しみやすい抒情的な道程が続き、3人の巧まざるチームワークの鮮やかさと個人プレーの見事なキレ・冴え〜匠のワザ、とでひたすらデリシャス&グルーヴィーに楽しませてくれる。
★安ヵ川(b)の、バップ・スイング色濃厚でありながらアルコを使った場面では結構クラシカルな趣も悠々漂わせる、全編を通じ芳醇な吟醸味をたっぷりこってり振りまく懐広い親分ぶり(ただならぬ圧倒的存在感を放ち続ける一座の大黒柱にしてしっかり花形!)や、maiko(vln)の、優雅さや唯美性に溢れながらしかししっかりエモーショナル&エネルギッシュに喜怒哀楽を唄うハツラツとした立ち回り、そして西山(p)の、決してリキまずマイペースで伸びやかに、しかも繊細にニュアンスをこめて誠に瑞々しく哀愁・憂愁を映し出す、赤子の手をひねるように(?意味が違うんじゃないの〜?)全くブレのない飄々ささえ感じさせる清新爽快なストーリーテリングの妙、などゴキゲンな聴きどころ満載。
01. A Day Before The Last Day Of Summer 4:43 Hitomi Nishiyama
02. Consolation 4:47 Hitomi Nishiyama
03. The Tree Of Life 4:32 Daiki Yasukagawa
04. Shenandoah 5:33 Traditional
05. Vibrant 4:28 Hitomi Nishiyama (bass & piano duo)
06. Ensemble 7:00 maiko
07. Everytime It Rains 5:43 Hitomi Nishiyama (bass & piano duo)
08. 飛び立つ水鳥 5:20 maiko
09. New Song 4:10 Daiki Yasukagawa
10. What A Friend We Have In Jesus 4:20 Charles Crozat Converse
total time 50:56
安ヵ川 大樹 (bass)
西山 瞳 (piano)
maiko (violin except 05, 07)
2019年2月21日 Studio Happiness(神奈川県川崎市高津区二子)録音
レーベル:
D-neo
在庫有り
見開き紙ジャケット仕様CD