★リーダー・アルバムは久しぶりとなる、お馴染みスウェーデン正統派モダン・ピアノの重鎮:クラエス(クレース?)・クローナ(1940年スウェーデンのストックホルム生まれ)のトリオによる、
★歯切れよく跳ねるようなバネの利いた躍動感に溢れ、かつ、しっかりした重みや厚みも備わった、一音一音が生鮮でイキイキとしていつつブレのない、そしてまた透明感や潤いあるクリスタル風タッチのピアノが、伝統的なバップ・イディオムやファンキー・イディオムと明るく豊饒なる歌心をガッチリ掛け合わせた、全き正攻法のメロディック・グルーヴィー・プレイを溌剌げに紡いで、誠に清々しく芳醇な華を成し、一方、時折現れてはレイジー・リラクシングな(或いはパンチの利いた)温もり一杯の流線形ブロウで悠々と座をさらうテナーの活躍も、さすがコク旨この上なしの魅力を際立たせた、鋭敏ダイナミックにしてホッと安心できるハートフルな充実内容。
★硬派でスクエアーなバップ・グルーヴ感と明快平易でシャレた歌謡フィーリング、を変らず肝とし、また、インティメイトな和気あいあいの寛ぎとシャープでイキのいい力学的ノリや迫真力、とが破綻なくナチュラルに共存した、ブルース色も濃い小細工なしの直球型リリカル・バピッシュ演奏、が嬉々として闊達に展開され、ツボをキッチリ心得つつ中々表情多彩で雄弁でもあるベース&ドラムのアジなバックアップ、にシカと支えられながら、クローナ(p)の、正に「メロディーの泉」然とした、鍵盤の上をどこまでも流麗に跳ね躍り続けて唄いに唄う、その愉しくてしょうがないかのような晴朗快活至極な立ち働きが、簡潔にして余情深い、バッチリ熟成された匠の妙味を軽々揮ってゴキゲンだ。
→硬質で角張った殺陣風のバップ・イディオム技と、粋で瀟洒な小唄風のマイルド・メロディック・フレーズ(もしくはブロック・コードを活かしたファンキー節)、を黄金率でブレンドしつつあくまで滑脱にスイスイと歩を進め、時にはエヴァンス辺りにも通じる、より耽美的でロマンティックな詩情描写も適宜盛り込む、という、終始一貫して衒いや仕掛けを排した極めてオーソドックスな娯楽派モダン・ピアノの古典的王道を直進し続け、後には、オールド・ファッションでありながら実にフレッシュな、そして風流な幽玄めいた余韻がじんわり残る、そうした、地道に年季を積んできた者にしか出せない雅趣っぽい味わいは格別。ちょっとけだるくスモーキーにゆらゆらと泳ぐハミルトン(ts)のデカダン・スムース節も絶品。
1 Voyage
2 Willow Weep For Me
3 Corcovado*
4 Autumn Leaves
5 My Ideal*
6 Sweet Georgie Fame
7 Blues For Laila
8 It Never Entered My Mind
9 Dahoud
10 Lady Be Good
11 On Green Dolphin Street*
12 My Romance (solo piano)
Claes Crona (piano)
Hans Andersson (bass except 12)
Johan Loforantz Ramsay (drums except 12)
Scott Hamilton (tenor saxophone)*
2018年12月9日&2019年1月24日 スウェーデン-ストックホルムのOAL Studio録音
レーベル:
Spice Of Life
在庫有り
国内制作 デジパック仕様CD