★安土桃山時代より続く能楽師・一噌流笛方の15代目であり、またフリー・ジャズのフィールドでも多角的・野心的に活躍してきた、極めてプログレッシヴな唯一無二の個性とワザを持つ笛(能管の他、田楽笛、篠笛、リコーダー、角笛なども吹く)奏者:一噌幸弘(1964年東京都生まれ)、の主導する、原田依幸(p)(1948年島根県生まれ)、吉田達也(ds)(1961年岩手県江刺市生まれ)、というキャリアも豊富な突出個性派フリー系の猛者二人と組んだトリオの、2011年2月に吉祥寺で録られていたライヴ音源を初アルバム化=2枚組。
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アルバム全体が故・セシル・テイラー(2018年没)に捧げられている。
★独特の瞑想色や思索性を孕み、同時に不可思議なノイジーさも垣間見せる、そしてまたほぼ一貫してエキゾティック(和の趣であったり、和とは違った秘境っぽい、或いは呪術めいたテイストであったりと色々)な風合いを呈した妖麗トーンの笛が、スピリチュアルでエモーショナル、かつ、凄絶なまでにアナーキーな破壊力をも有した、奔放激烈この上なしの大立ち回りインプロをごく軽やかに、飄々と炸裂させて実に蠱惑的な華を成し、ピアノ&ドラムの硬派フリー・ジャズの語法に則った、ひたすらハード&ビターで重厚な容赦なき体当たり風の攻勢も、大迫力の好アクセント=爆弾効果を形創った、全編に渡って極めてハイテンションなただならぬ突撃パワーと超絶なるハイテクニックなワザのキレ、とで聴く者を問答無用に圧倒する敢闘内容。
★徹底して妥協を排した真剣勝負で完全燃焼なフリー即興インタープレイが、鬼気迫るが如きコワモテ調子で厳然・毅然と展開されるが、そうした中、全体を通じ一噌の笛が中心主役の座に据わっていることが奏効して、その吹鳴から終始立ち昇る揺るぎない(純邦楽的)情緒性や詩趣、更には音色・音響の美しさ、といったものが際立ち、音空間〜道程はシリアスではあるがあくまで清々しい昂揚や感動に満ちた、大いにリリカルでもある世界に仕上がっていて、誠に爽快だ。
★一噌(能管他)の、日本古来の伝統的な渋〜い哀愁ムードや作法正しき様式美と、フリー・インプロ物ならではの乱調(狂乱)さ・苛烈さやヴァイオレンス、とをごく自然に一体化した風な、その軽々とさえずり泳ぐような鳴動のあり様が、とりわけ圧巻の無双なる輝き・煌きを放っており、一方、原田(p)の、セシル・テイラーに接近しつつ暴虐に、絨毯爆撃的に岩石群をぶつけてくるが如きゴツゴツした不屈の獰猛アタック技や、吉田(ds)の、全く予断を許さない、神出鬼没に速攻パンチ・キックをカマし続ける強靱な必殺大武闘ぶり、もそれぞれにズバ抜けて鮮烈でインパクト大。
Disc 1
1. 物狂1-1
2. 物狂1-2
3. 物狂1-3
Disc 2
1. 物狂2-1
2. 物狂2-2
3. 物狂2-3
4. 物狂2-4
5. 物狂2-5
6. 物狂2-6
一噌 幸弘 Yukihiro Isso (能管, 田楽笛, 篠笛, リコーダー, 角笛)
原田 依幸 Yoriyuki Harada (piano)
吉田 達也 Tatsuya Yoshida (drums)
2011年2月4日 吉祥寺のマンダラ2でのライヴ録音
レーベル:
tohyohyo music
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三つ折り紙ジャケット仕様・2枚組CD