★1920年代末期にジャンゴ・ラインハルトとのコンビで頭角を現し、以後70年に及ぶプロ・キャリアを超精力的な活動で濃密に完うした、ジャズ・ヴァイオリンの第一人者にして最高実力者:ステファン・グラッペリ(1908年フランスのパリ生まれ、1997年死去)の、本盤は、その晩期を代表する傑作の一つ、=ケニー・バレル(g)、バッキー・ピザレリ(g)、ロン・カーター(b)、グラディ・テイト(ds)、という錚々たるアメリカの花形プレイヤー達と組んだオールスターズ(クインテット)による、1992年4月ボストンで吹き込まれた人気の一編:「So Easy To Remember」(元々はOmega Recordsからリリースされ、ビデオアーツから国内盤CDも出ていたもの)に、今回初出となる未発表トラック2つ(うち1つは別テイク)を加え、ジャケット・デザインも刷新したUHQ-CDでの新装再発版。
★優しくまろやかかつバネも利かせて悠々と流線形or波を描くようなヴァイオリンの、何げにハイテクニックであり、細やかなニュアンスにも富んだメロディック・プレイが、ハートウォーミングにしてダイナミック・グルーヴィーでもある誠に鮮麗なる華を成し、クール・メロウでいてダウン・トゥ・アースなバップ(&ブルース)色濃い第一のギター(バレル)や、コードワークを多用して温かな仄々感を醸成するスイング色もチラつかせた第二のギター(ピザレリ)、らの助演も、それぞれにしっかり美味しいきららかな彩りを添えた、全編を通じて小気味よくノレつつホッと深く安心できる快適内容。
★インティメイトな寛ぎを底流させた、徹頭徹尾メロディアス&スインギーな全き正攻法の人情娯楽的リリカル・バピッシュ奏演、が和気あいあいムードで展開され、中々精確巧緻に安定した律動的グルーヴ感を醸成するカーター(b)&テイト(ds)の鉄壁コンビワーク、に確固と支えられ、また上手く刺激されながら、グラッペリ(vln)の、一貫して肩の力の抜けた自然体調子で、ひたすら軽妙瀟洒に、そして飄々と、波乗り遊泳を楽しむかのような、巧まずして「歌心の泉」ぶりをナチュラル・スムースに揮いきった気品と節度(とゆとり)あるさすがの熟練至芸や、バレル(g)の渋くてイキなちょっと勇み肌っぽい熱気も孕んだ躍動ワザ、らが何とも清々しくハートフルに盛り上がりを呈してゴキゲンだ。
★グラッペリ(vln)の、一聴達観したような淡麗さを漂わせながら、同時に、聴く者をセンシティヴ&テンダーにしっとりと包み込んでくれるが如き暖かな、繊細な風合いも決して絶やさないその、ごく平易かつ幽玄深き語り口があくまで軽やかに(&風雅に)冴え渡っており、一方バレル(g)の、スマートなモダニズムとアーシー&ソウルフルなブルース由来の熟したコク、とを密に融け合わせたイキのいい敏活プレイも文句なく絶好調。
01. 恋のため息
02. 煙が目にしみる
03. イージー・トゥ・リメンバー
04. イン・ア・センチメンタル・ムード
05. ラヴ・フォー・セール
06. パリが恋するとき
07. フォー・オール・ウィー・ノウ
08. ナイト・アンド・デイ
09. アイム・コンフェッシン
10. ハウ・ハイ・ザ・ムーン
11. ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド
12. アイム・コンフェッシン (スロー・テイク)※
13. エンド・オブ・ラヴ・アフェア※
※未発表テイク (bonus track)
Stephane Grappelli ステファン・グラッペリ (violin)
Kenny Burrell ケニー・バレル (guitar)
Bucky Pizzarelli バッキー・ピザレリ (guitar)
Ron Carter ロン・カーター (bass except 11)
Grady Tate グラディ・テイト (drums except 11)
1992年4月マサチューセッツ州ボストンのSound Techniques録音
レーベル:
Muzak
■解説:原田和典
■オリジナル・マスターテープよりニュー・リマスタリング
■ボーナス・トラック収録
■紙ジャケット仕様
■男性誌LEONでお馴染みの桑原節の描き下ろしによるニュー・パッケージ
在庫有り
CD
国内制作・W紙ジャケット仕様UHQ-CD