★ヨーテボリの音大に学び、アンデシュ・ヨルミンにベースを師事、過去およそ18年来スウェーデン国内外で活躍、ピアニスト:Daniel Karlssonとの連名デュオ・アルバムをBrus & Knasterより発表(2013年録音、2014年リリース)し、ここ最近も企画グループ:Corpoやワルター・ラング(p)・トリオのレギュラーを務めながら、自己の主力プロジェクト・ユニット:Openを精力的に推進している、スウェーデンの個性派・進歩派ベーシスト:トマス・マークソン(1978年スウェーデンのサンドヴィーゲン=Sandviken生まれ)の、単独個人名義としてはこれが初のリーダー作となる、トランペット入りカルテット(先年のFootprintよりの近作も好評だったヨーテボリ在住の邦人女性ピアニスト:坂田尚子も参画)を率いての自作曲集。
★生々しくシャープな迫真のスリル&サスペンスを渦巻かせつつ、たゆたい浮遊するかの如くジワリジワリと、そして確固と歩を進めてゆくベース&ドラムの匍匐(ほふく)遊撃的鳴動にしっかり支えられ、また突き煽られながら、スピリチュアルで繊細それでいて力強い剛健さをも感じさせるトランペットや、妖しい夢幻性を帯び、時にはアブストラクトな領域へも果敢に踏み込んでゆく、硬質かつ端麗美溢れるピアノ、らがシリアスにして情感豊かな風格ある見せ場を中々伸びやかに分け合って、誠に瑞々しい興奮と奥深い感動を満喫させてくれる敢闘内容。
★エレガントでロマンティックな耽美性と、妥協なく鋭利に研ぎ澄まされたハードネス並びに重厚なダークネス、をシッカと備えた、ヨーロピアン現代抒情派の最尖端を行く風な、決して甘くないシビアでミステリアスな思索瞑想性漂うリアル・インタープレイ妙演が腰を据えて展開され、強硬なるダイナミズムと濃やかな情魂味を交差体現するマークソン(b)の、揺るぎなげな立ち働きも絶えず頼もしく芳醇な存在感を際立たせる中で、スヴェンソン(tp)や坂田(p)の終始表情はピリッと引き締まっていながらバッチリ華やいでもいる、ビターノワールかつエモーショナルなアドリブ奮戦がひたすらフレッシュ(&サスペンスフル)に盛り上がりを呈して爽快・壮快だ。
★スヴェンソン(tp)の、「甘さを抑えた吟遊牧歌詩人」とも云うべきイメージの、タフでありセンシティヴでもある強靱咆哮が、一貫して威風堂々そして雄渾なる絵を飾っていて秀逸で、一方坂田(p)の、暗く深遠な内省世界とよりポジティヴで開放的な馨しき浪漫景色の間を細かに、自在に行き来するドラマティックなモーダル・プレイもひたすらソリッドに冴え渡っており、その道程は作曲面のコンセプチュアルな統一感も奏効して、独特の濃い翳りを含み、太く確たる骨芯に貫かれた、全くブレのない泰然幽遠のポエティック空間(宇宙)に仕上げられている。見事。
1. Ending
2. As It Is
3. Folke
4. Improvisation No. 3
5. Duo
6. Open
7. Into The Woods
Staffan Svensson スタファン・スヴェンソン (trumpet)
Naoko Sakata 坂田 尚子 (piano)
Thomas Markusson トマス・マークソン (bass, compose)
Cornelia Nilsson コルネリア・ニルソン (drums except 4)
2018年1月18-20日スウェーデン-ヨーテボリのハーガ教会での録音
レーベル:
Footprint
在庫有り
CD