★復調後も益々円熟した精力的快進撃を続けている当代抒情派ピアノの筆頭名手:フレッド・ハーシュ(1955年オハイオ州シンシナティ生まれ)の、本盤は、これが名門クラブ:ヴィレッジ・ヴァンガード(NYC)への初めての出演となったという、当時のレギュラー・トリオ(withドリュー・グレス-b&トム・レイニー-ds)による1997年7月18日の公演の模様を捉えた未発表ライヴ音源の初ディスク化、=米Palmetto原盤作品にこの日本盤のみボーナス・トラック1曲を加えたスペシャル仕様。
★端正できめ濃やか、それでいて歯切れよく打鍵の強い、前のめりの勢いを感じさせるところも多々ある表情豊かな美麗タッチのピアノが、繊細でテンダーな詩的ロマンティシズムやエレガンスと、圧倒的にパワフルで敏捷なダイナミズム〜力学性、とを各々目一杯のヴォリュームでガッチリ掛け合わせた風な、ハーシュ一流のメロディック・アクション!とも云うべき滑脱プレイを実にイキイキと、流暢に紡いで生鮮度バツグンの華を成し、一触即発の起爆性を孕みつつ機略遊撃的に絡んでくるインタープレイ指向なベース&ドラムの攻勢も、常に的確にスリルとグルーヴそして旨味をしっかりと高めて頼もしい魅力を際立たせた、奥深い浪漫と烈々なストロングネスを瑞々しい昂揚感とともに満喫できる、気力・意気も充実しきった出色の会心打内容。
★歌心や詩情、耽美傾向と迫真白熱の大立ち回り趣向がごく自然に、細かにドッキングした、三者一丸となって清新なパッションをみなぎらせつつ驀進する、精悍軒昂にしてマイルド・ポエティックでもある疾風迅雷の超アクティヴ抒情派快演、が誠にポジティヴに、嬉々として展開され、ハーシュ(p)の、センシティヴでニュアンスに富み、それでいて明るく晴朗な開放感やストレートですがすがしいエモーションも一杯のアドリブ奮戦が、ひたすらスッキリ&スカッとした絶好調の冴え・練達ぶりを呈して、全く爽やかだ。
→エヴァンスの流れを正統に汲みながら、現代(90年代)流の味つけや細密な入り組み具合、或いはよりクールな半内省テイスト、なども自ずと加えられたその、しっとり甘美でいて時にはニガくハード・スリリングであり、またある時はこってりダウン・トゥ・アースな醸熟のブルージー・ソウルを全開させたりもする、ハーシュ独自の典雅かつ縦横無尽な哀愁漂う語り口の妙が、一本太い芯の通ったブレのない、鮮やかな熟成を、キレを示していて見事。何げによく唄うグレス(b)の温かな活躍も光る。
1. Easy To Love (Porter) 9:50
2. My Funny Valentine (Rodgers) 10:06
3. Three Little Words (Kalmar / Ruby) 6:00
4. Evanessence (Hersch) 5:47
5. Andrew John (Gress) 7:36
6. I Wish I Knew (Warren) 5:48
7. Swamp Thang (Hersch) 5:44
8. You Don't Know What Love Is (Raye / DePaul) 7:28
<日本盤ボーナストラック>
9. The Nearness Of You (Carmichael / Washington) 9:43
Fred Hersch (piano)
Drew Gress (bass)
Tom Rainey (drums)
1997年7月18日ヴィレッジ・ヴァンガード(ニューヨークシティ)でのライヴ録音
レーベル:
King International (Palmetto原盤)
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国内盤CD