★1950年代から1960年代前期にかけては、オランダのモダン・ジャズ黄金時代を代表する人気グループ=ダイアモンド・ファイヴの花形フロントを務めて爆発的評判を上げ、また1960年代にはボイ・エドガーのビッグ・バンドでも活躍、その後も自己の小コンボを率いて精力的に活動を続け、ワン・ホーン主体の好アルバムをコンスタントに発表して高い評価を得ていた、オランダ屈指のハード・バップ・テナーの逸材:ハリー・ヴェルビク(ハリー・ヴァーベク?)(1922年オランダのレーワルデン=Leeuwarden生まれ、2004年同国のハールレム=Haarlemで死去)。
★本盤は、弟であるピアニスト:Joop Verbeke(1930-1997)を含むワンホーン・カルテットによる、1972年12月蘭レーワルデンのクラブ:Passepartoutでの公演の模様を収めた傑作ライヴ・アルバム(原盤:オランダUniverse Productions UP 102)、に未発表曲4トラック(CD1-#4,CD2-#3,#4,#5)をプラスした待望のCD化＝2枚組・完全版。
★パンチとコクのバッチリ利いた、おいしさ格別な肉厚トーンのテナーが、ハード・ドライヴ感全開で豪快武骨に跳ね泳ぎ、同時にレイジー・スモーキーなけだるさや物憂さも自ずと漂う、晴々朗々たるダイナミック・ブロウを滑脱に繰り出し続けて、理屈抜きの超壮快かつイナセなスカッとした華を成し、また、ちょっとストイックっぽくもある型を重んじたスクエアー・バピッシュなピアノの助演も、吟醸味一杯のシブ〜い彩りを添えた、昔気質の人情娯楽的な行き方で大いに愉しませ、和ませる充実の会心打内容。
★いい意味で1970年代とは思えないような1950年代風の純正ハード・バップ・テイスト濃厚な、単純明快で頑固一徹なる潔し!の活劇エンタテイメント肌演奏、が嬉々溌剌と展開され、ベース&ドラムのツボを心得た中々強力に律動スイングするスケール感も満点の歯切れよいサポート、にビシバシとノセられながら、ハリー・ヴェルビク(ts)やJ・ヴェルビク(p)の、一貫してキャッチーな歌心と硬派なバップ魂そしてイキなブルース・フィーリングを堅持しての、どこまでも親しみやすくハートフルなアドリブ奮戦が旨味こってりでおおらかそして開放感ある盛り上がりを呈して、全くゴキゲンだ。
★ハリー・ヴェルビク(ts)の、極めて剛健ストロングな逞しさ〜タフネスに溢れ、好もしい泥臭さを湛えたその、ひたすら敏活かつ流暢に渦巻きウェイヴを描き続けて揚々たる(それでいて深いメランコリーを仄めかすところもある)、圧倒的に図太い吹鳴のあり様が、さすがズバ抜けて清々しい大豊饒地帯を形成していて云うことなしで、一方J・ヴェルビク(p)の、終始シャープ&ソリッドにバップ・イディオムを徹底重視した凛然たる立ち働きも、燻し銀的煌きを放ってこれまた好インパクト。
CD 1
1. No More (Rollins) 12:12
2. I'm Coming Home Baby (Tucker) 11:26
3. What Is This Thing Called Love (Porter) 11:30
4. Summertime (Gershwin) 16:20
CD 2
1. I'll Remember April (Raye Johnston / de Gene) 10:11
2. Satin Doll (Ellington / Strayhorn) 9:32
3. It's You Or No One (Styne) 11:04
4. Misty (Garner) 9:22
5. Work Song (Adderley) 6:18
Harry Verbeke (tenor saxophone)
Joop Verbeke (piano)
Henk Van Veldhuizen (bass)
Martin Van Duynhoven (drums)
