アヴィシャイ・コーエン(b)・トリオで頭角を現し、La Borie JazzやMotema Music、O-TON等よりの自己リーダー諸作も好評だった、NYシーンで活躍するイスラエル出身の若手ピアニスト:シャイ・マエストロ(1987年イスラエル生まれ)の、ECM初登板となる本作は、トリオによる清新にして練達な会心の一編。折り目正しくきめ濃やかな、潤いと翳りとキレある端麗タッチのピアノが、一音一音に思索・思念を込めて神妙にストーリーを紡いでゆくかのような、アンニュイな物憂い内省感or瞑想性と吟遊牧歌的フォーキーさorエキゾティズム、とを自然に融け合わせたビタースウィート風味のリリカル・プレイを極めてセンシティヴに、丹念に綴って瑞々しくも奥行き豊かな絵を飾り、ベース&ドラムの変幻自在かつ当意即妙な小回り抜群のサポートも、ニュアンスや旨みに富んだ鮮麗なる魅力を際立たせた、フレッシュ・スリリングにして聴くほどにじんわりと味わいが胸に染み込んでくる、中々高密度な敢闘内容。緩急メリハリは適宜細かくつけられるが、ほぼ一貫して耽美性やヨーロピアンらしい浪漫の香り&エレガンス、そしてバラード的な落ち着いた詩情っぽさ、が自ずと保たれた、そしてトライアングル風のサスペンスフルなインタープレイ色や浮遊感覚も底流する、半文芸調のメロディアス演奏が繊細さとある種の静謐さをもって展開され、マエストロ(p)の、「フォーク・グルーヴ」的なややおおらかで開放感ある晴れ晴れテイストのマイルド・リズミカル・フレージングと、妖しく仄暗い心象風景の奥底へじっくり降りてゆく風なダーク・メランコリック節、を的確に使い分け、或いは掛け合わせ、時にはごくストレートアヘッドなモーダル・ダイナミック・アクションなども盛り込んで、何げにメリハリの利いた劇的でしっかり中身の濃い流れを形作ってゆく、その悠然にして研ぎ澄まされた語り口が全くアザやかに冴え渡っていて素晴らしい。→とりわけ、独特の深〜い陰影と憂愁に彩られた、それでいて達観したような爽やか&まろやかな風合いもある、ゆったり落ち着いたスウィート・メディテーショナルなバラード型のロマンティシズム表現には、思わず吸い込まれていきそうなワン&オンリーの蠱惑力があって出色だ。
Side A
1. My Second Childhood (solo piano)
2. The Forgotten Village
3. The Dream Thief
4. A Moon's Tale
5. Lifeline
Side B
1. Choral (solo piano)
2. New River, New Water
3. These Foolish Things (Remind Me Of You) (solo piano)
4. What Else Needs To Happen?
Shai Maestro (piano)
Jorge Roeder (double bass except A-1,B-1,3)
Ofri Nehemya (drums except A-1,B-1,3)
2018年4月スイス-ルガーノ(Lugano)のAuditorio Stelio Molo RSI録音
レーベル:
ECM
御予約商品
180g重量盤LP
入荷予定時期 : 2018年9月下旬 受注締切 :2018年8月29日
※発注先案内の入荷時期を記載しておりますが、入荷時期は予告なく変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。