★トリノを主たる拠点に1970年代から活動を続けてきたイタリアのベテラン・ドラマー:ジョルジオ・ディアフェリア、の主導するライフワーク的な本命プロジェクト:Doctor In Jazzは、過去にもこれとは違った顔ぶれ・編成でSplasc(h)からアルバムを出していた(90年代初期)が、今回は、レギュラーのアルトサックス奏者:ダニーロ・パラの他、イタリアのジャズ界とは交流も深い英国のピアニスト:ジョン・ドナルドソンも参加したカルテット体制(最後の1曲のみピアノとベースが交代する)による、チャーリー・パーカー・トリビュート演奏集。★キュッと締まりが利いていながら、同時にまろやかなユルさ・柔らかみも自ずと併せ持った、何とも味のあるトーンのアルトが、バップ・イディオムを基調としつつ豪快でダイナミックな「歌謡アクション」風の敏活ブロウを朗々と轟かせて、実にイキでイナセな華を成し、固く骨太いストーン・タッチで苦味走った殺陣っぽい硬質的立ち回りに終始するピアノも、これまた渋旨な濃い彩りを添えた、一貫してシンプル&ストレートなノリノリ気分がバッチリ堪能できる好演内容。
★ひたすらメロディアスでスインギーな活劇的エンタテイメント指向に徹した、明快晴朗この上なしのスカッとした直球バップ大会が溌剌げに展開され、ベース&ドラムのツボを心得た律動性バツグンの力強いバックアップにシカと支えられながら、パラ(as)やドナルドソン(p)の腰を据えて伸びやかに躍動し、イキイキ歌うアドリブ敢闘が悔いを残さず清々しい盛り上がりを、豊作ぶりを呈して文句なく痛快・壮快だ。
★パラ(as)の、幾分か荒削りに勢い任せで突っ走る風な辺りも勇み肌っぽくて好もしい、どこまでも活きのよさと吟醸的旨味に貫かれたタフガイ気質の暴れ様〜泳ぎっぷりが、理屈抜きで胸のすくようなおおらか&爽やかな華やいだ魅力を揮いきっており(バラードでのちょっと朴訥で不器用そうな哀愁ロマン節も瑞々しい妙味)、一方ドナルドソン(p)の、伝統的バップ語法を確たる根幹としつつ、場面に応じてモードやファンキー系の文体も的確に挿入してくるその、終始揺るぎなくブレのない威風ある毅然げな鳴音のあり様も、シブくて巧まざる余情豊かさ・懐深さを湛えた、「抑え役」らしいアジな個性を放っていて好印象。
1. Confirmation
2. I Get A Kick Out Of You
3. Au Privave
4. Embraceable You
5. Salt Peanuts
6. My Little Suede Shoes
7. Steeplechase
8. Lover Man
9. The Song Is You
10. Speak Low
Danilo Pala (alto saxophone)
John Donaldson (piano on 1〜9)
Fabio Golier (piano on 10)
Aldo Zunino (bass on 1〜9)
Saverio Miele (bass on 10)
Giorgio Doc Diaferia (drums)
2018年4月23日イタリア-トリノのBlumusic録音
レーベル:
Splasc(h)
在庫有り
CD