★1940年代よりNYシーン第一線で活躍し、1970年代以降はカナダのトロントに拠点を移して、数々の味のある優良アルバムを発表し、好評を博してきたモダン・ピアノの重鎮:ジーン・ディノヴィ(1928年ニューヨークシティ生まれ)の、本盤は、トリオ編成で2013年に吹き込まれていた(於カナダ)ロジャース&ハート名曲集。
★骨太く硬角質でいて豊かな潤いを含んだ、折り目正しいストーン・タッチのピアノが、マイルドで粋な小唄的メロディックさやロマンティシズムと、バップ&ブルースの伝統語法に立脚した渋〜いサビっぽさ、を併せ持った、快活にして落ち着きある明朗プレイを実に丁寧に綴って、何とも芳醇な魅力をじんわりと放った好演内容。
★ウォーム&インティメイトな寛ぎ感覚と敏活溌剌なスイング感、を按配よく融和させた、ごく親しみやすい和気あいあいムードの人情娯楽的リリカル・バピッシュ奏演、が楽しげに展開され、ベース&ドラムの、堅実であり機略性にも長けた的確自在なサポートにしっかり支えられ、ノセられながら、ディノヴィ(p)の、(今作ではとりわけ頻出するバラードにおいての、)大層ジェントルでグルーヴィー、かつ中々奥深い雅趣を含んだ、しかし表面上はごく平明平易な手堅いアドリブ妙技が、聴くほどに余情を増すような際立った冴えを示して素晴らしい。
→バップやブルースの定番イディオムに則ったハード&スクエアーな殺陣風のダイナミズム表現〜アクション節と、より瀟洒でソフィスティケート或いはロマンティックな歌謡的フレージング、とを好バランスでミックスしつつ、あくまで肩肘張らない自然体の悠々気分で丹念に文脈を紡ぎ、後にはえも云われぬ吟醸味っぽい余韻が優しく残る、という、その、さすが年季を積んで十二分に熟成された燻し銀的な語り口の粋は絶品だ。スウェインソン(b)のこってりコク旨な活躍も好インパクト。
1. Little Girl Blue
2. My Funny Valentine
3. I Don't Know What Time It Was
4. Johnny One Note
5. Wait Till You See Her
6. Thou S'Well
7. Bewitched
8. Spring Is Here
9. Have You Met Miss Jones
10. This Can't Be Love
11. Fall In Love With Love
12. It Never Entered My Mind
all compositions by Richard Rodgers
Gene DiNovi (piano)
Neil Swainson (bass except 3,12)
Ernesto Cervini (drums except 2,3,12)
2013年9月19日,20日カナダ録音
解説:クミコ・ストームス、 上不 三雄
レーベル:
Marshmallow(Marshmallow Export)
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厚紙Wジャケット仕様CD