★クール・ジャズの始祖:レニー・トリスターノの高弟として、そのプレイ・スタイルと音楽哲学を継承し、そして発展させた孤高のピアニスト:サル・モスカ(1927年ニューヨーク州マウント・ヴァーノン生まれ、2007年ニューヨーク州ホワイト・プレインズで死去)の、本盤は、1992年11月蘭アムステルダムのthe Bimhuisにおける、ソロ・ピアノによる未発表ライヴ音源を収めた2枚組の発掘アルバム。
★歯切れよくクッキリした、鋭角的で鮮明な鳴り様を呈するクリアー・タッチのピアノが、バップやストライドのイディオムを用いながら、力学指向のハードでビターなアクション展開と、洒脱で優しくハートウォーミングな寛ぎ小唄風のフレージング、とを微細に交差させて、メリハリの利いた味わい豊かで陰影深い燻し銀的スインギー・リリシズム世界を、どこか飄々と軽やかに描ききった好投内容。
★歌心とスイング感満点だが決して甘すぎず、ピリッとしたシャープなスパイス感を伴いつつの、躍動型抒情派っぽい快活にして渋〜い旨口演奏がテキパキと紡がれてゆき、親しみやすい歌謡ムード一杯の明朗柔和な側面と、パーカッシヴで重厚かつ暗影濃い硬質な趣向、とが的確に掛け合わされた、さりげなくニュアンス細かな道程形成で終始フレッシュ・スリリングに楽しませてくれる。
★丹誠込めて一音一音を丁寧に積み上げてゆく、マイルド・ロマンティックなしっとりとしたバラード表現や、ファンキー・テイストも仄めく粋でイナセな吟醸的ブルース節、に心地よく酔わせる一方、よりシリアスでダークネスを増した、怪しい内省感さえ孕んだ風な重低音強打の中々厳しいダイナミズム攻勢、の凛々しさ・毅然さがまた格別で、緩急自在、硬軟巧みなさすが熟練した語り口により、誠に芳醇で余情に富んだ、それでいてあくまでスッキリ簡潔な道筋が事も無げに編み上げられており、全く鮮やか。
Disc 1:
1. Ghost Of A Chance
2. Love Me Or Leave Me
3. Sweet Georgia Brown
4. Stella's Blues
5. Donna Lee
6. Gone With The Wind
7. Topsy
8. I Got Rhythm
9. Medley (1) Over The Rainbow / I Can't Get Started
10. Scrapple From The Apple
11. Cherokee
Disc 2:
1. Medley (2) Stardust / Dancing In The Dark / Too Marvelous For Words / I Cover The Waterfront / It's The Talk Of The Town / Somebody Loves Me / I Never Knew / Lullaby In Rhythm
2. Medley (3) Sweet And Lovely / The Man I Love / Groovin High
3. I'll Remember April / Limehouse Blues
4. Medley (4) All The Things You Are / A Night In Tunisia
5. Medley (5) Yesterdays / Sunnyside Of The Street
6. Tea For Two
7. Love For Sale
Sal Mosca (piano)
1992年11月14日オランダ-アムステルダムのthe Bimhuisでのライヴ録音
レーベル:
Sunnyside
在庫有り
三つ折りデジパック仕様2枚組CD