★黒人ハード・バップ・テナーの大横綱=“リトル・ジャイアント”:ジョニー・グリフィン(1928年イリノイ州シカゴ生まれ、2008年フランスのMauprevoirで死去)の、これは、1988年5月フロリダ州デイヴィーでスタジオ録音されたワンホーン・カルテットによる入手困難作品(Who's Who In Jazz原盤)、の限定復刻版。
★肉太い逞しさや力強さと、まろやかでふくよかな弾力性やソフトネス、が絶妙に合わさった、一吹き一吹きから深〜い滋味が滲み出てくるような醸熟トーンのテナーが、パワフルでダイナミック、それでいて一定の落ち着きや余裕〜寛ぎっぽさを決して絶やさない、さりげなく繊細でもある流麗滑脱なメロディック・ブロウを悠々と紡いで、さすが懐広くテイスティー・グルーヴィーこの上なしの華を成し、抑制ある硬質敏活なピアノや、コク&ウネりの利いたベース、らも中々フレッシュに彩りを添えた、ノリよくもこってりした美味さが堪能できる会心打内容。
★明朗快活でメロディアス&スインギー、かつ、ワンポイントのリラックス気分をキープした、波乗り調子の実に心地よい娯楽的ハード・バップ奏演が連続し、グリフィン(ts)の、肩肘張らない自然体な歩の進め様の中に、練達した渋旨な吟醸味をバッチリ垣間見せる、ごく事も無げな泳ぎっぷりが誠に鮮やかに冴え渡って、全くゴキゲンだ。
→威勢よくも滑らかに渦巻きウェイヴを描くような、ドライヴ感溢れるイナセな朗々咆哮!にノリノリで酔わせる一方、バラードでの、一音一音を大層デリケートに、慎重に吹き綴ってゆく、耽美的でメランコリックな哀愁ロマンティストぶり、の瑞々しく折り目正しい魅力にも得難いものがあり、一聴豪快でありつつ幽玄とも云うべき豊かな余情を含んだその吹鳴は、極めて超芳醇そして蠱惑的でさえある圧倒的な説得力を満載している。見事。
1. Isfahan
2. Take My Hand
3. All Through The Night
4. Coming On The Hudson
5. Woe Is Me
6. Hush-A-Bye
7. Out Of This World
8. If I Should Lose You
Johnny Griffin (tenor saxophone)
Michael Weiss (piano)
Dennis Irwin (bass)
Kenny Washington (drums)