★コロラド州デンヴァーを拠点に活動し、1980年代後期より、Prolific、Capri、Gramavision、Sterling Circle、Enja/Yellowbirdから次々とユニークな好作品を発表して高い評価を得てきた、キャリア30余年の個性派黒人トランペッター:ロン・マイルズ(1963年インディアナ州インディアナポリス生まれ)の、今回は、過去にも組んでいたビル・フリゼール(g)やブライアン・ブレイド(ds)の他、ジェイソン・モラン(p)も新たに加わった強力クインテットによる、自身はコルネットに専念しての、さすがの練達さ・練熟さを感じさせてくれる一編。
★牧歌的フォーキー色と硬派なバップ感覚を絶妙に交差させる、程好い脱力感を呈したマイルド風味のコルネットと、メロウ&ロマンティックな中に微かなニガみや思索性を匂わせるところもあるギター、のニュアンスに富んだやりとりを中心としながら、ダーク&ソリッドな打鍵の強いピアノや、たゆたうようでありつつ精巧的確にスパイス的ショットを次々打ち込んでくるドラム、らの活躍も鮮やかにアクセントを成して、カラフルで非常に奥深い抒情世界が実にセンシティヴに描き出された好演内容。
★ブルース色も濃いストレートアヘッドなバップ形式と、よりテンダーで風雅な耽美派浪漫路線、とが按配よくミックスされた、一貫してメロディアスな親しみやすいリリカル・タイプの行き方が流麗滑脱に続き、マイルズ以下銘々の、いずれもスリリングでいて一定の落ち着きや余裕を感じさせる懐の広いアドリブ・プレイが、何とも含蓄豊かにおいしい冴えを、盛り上がりを見せてゆく。
★マイルズ(cor)の、肩の力を抜いた自然体調子で伸び伸びと遊歩・遊泳を楽しむかの如きその、ある時はブルージー・バピッシュ、ある時は哀愁フォーク調、またある時はアブストラクトな暗い内省型にもなる、それでいてどこまでも晴れやか&おおらかな、掴みやすい優しさ〜人情味を絶やすことのない吹鳴のあり様が、誠に爽快で清々しい絵を飾っており、一方、翳りあるクールな風合いと渋旨な正統的グルーヴ傾向の間を自在に往来するフリゼール(g)や、パーカッシヴ・タッチで雄々しく驀進するモラン(p)、らの助演も魅力たっぷりに光っている。
1.
アイ・アム・ア・マン
2.
ダーケン・マイ・ドア
3.
ザ・ギフト・ザット・キープス・ギヴィング
4.
レヴォルーショナリー・コングレゲイション
5.
マザー・ジャグラー
6.
ジャスパー
7.
イズ・ゼア・ルーム・イン・ユア・ハート・フォー・ア・マン・ライク・ミー?
Ron Miles ロン・マイルズ(cornet)
Bill Frisell ビル・フリゼール(guitar)
Jason Moran ジェイソン・モラン(piano)
Thomas Morgan トーマス・モーガン(bass)
Brian Blade ブライアン・ブレイド(drums)
2016年12月コロラド州デンヴァー録音
レーベル:
Muzak
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