先頃の一作「Sir Horace」も好評だった、新宿の老舗クラブ<Ｊ>を本拠に首都圏のライヴ・シーンで長らく活躍してきたベテラン・ドラマー:諸田富男の、今回もまた自己セクステットを中心とした<Ｊ>でのライヴ音源を収めた一編。色彩感豊かで歯切れのいい、スッキリとした正攻法勝負のブルージーなハード・バップ演奏が明朗に展開される、旨味たっぷりの壮快内容である。和気あいあいとしたハートフルな開放的娯楽ムードとワンポイントの余裕っぽさ、を保った、歌心&スイング感満点な大船に乗った気分の驀進が続き、ds者の、精巧にして輪郭明瞭、切れ味は実にシャープでカラッとドライな風合いを呈した、軽快に跳ね躍るようなダイナミックなビート演出が小気味よくも瑞々しい冴えを示し続ける中、テーマ部や転換部、ソロの背景、等にあってはピタリと息の合った緻密なアンサンブル・ハーモニー鳴動が鮮やかに映えて、音空間に様式美的締まり感や格調を齎しつつ、大方の場面では各人が伸び伸びと個性を揮い合ったブローイング・セッション風の豪快で楽しげな盛り上がりを見せてゆく、という、小細工なしのシンプル&ストレートな晴朗活劇っぽい道程展開で大いに昂揚させてくれる。バップ、ブルース、モードの基本イディオムと粋でイナセな歌謡フィーリング、にしっかりと根ざした生鮮度抜群の歌い泳ぎ様を見せる精鋭連の、エッセンスを凝縮したような簡潔で密度の濃いトントン拍子のリレー合戦が実に美味しい華を成した、カラフル&テイスティーなスカッと胸のすく好品。
Along Came Betty,I Remember Clifford,Lotus Blossom,I'm Getting Sentimental Over You他全9曲収録
諸田 富男 Tomio Morota(ds)宮本 やすし(tp)宮崎 勝央(as)岡崎 正典(ts)海野 雅威(p)矢野 伸行(b)青木 タイセイ(tb)竹内 郁人(as)石田 衛(p)
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