★ベルリンを拠点に、Schneeweiss + RosenrotやLiun & The Science Fiction Band、Yellow Birdといった企画グループでジャンルを越えた活動を行なっている、
スイス出身の女性歌手:ルツィア・カドッチュ(1984年チューリッヒ生まれ)の、本盤は、スウェーデンの逸材2人、テナーサックスのオティス・サンドシューとベースのペッテル・エル、との新生3人組ユニットによる一編。
★ヒンヤリ冷涼で透明感溢れる、中高音の澄んだ艶やかヴォイスによる、吐息風だったり語り節っぽかったりのテンダーな面と、結構ダイナミックに張りも利かせた半グルーヴィーな面、を按配よく交錯させた、基本はリリカル指向のドラマティックな演唱が、瑞々しくも芯の通った凛然たる華を成し、コク味こってりの肉厚テナーや、強烈にバネ&ウネりの効いた太いパーカッシヴなベース、らもおいしい彩りを添えた、心地よくも濃密な快演内容。
★インティメイトな和気っぽさと、浮遊空間的でトライアングルな迫真サスペンス、が好バランスで並立した、繊細かつ流麗なる道行きが続き、テナーやベースのヴォリューム感(〜重量感)ある硬派な立ち回りも絶えず頼もしげに、芳醇に際立ち、またこれに巧くプッシュされながら、カドッチュの、滑脱でいて一定の折り目正しさをキープしたセンシティヴな歌い回しが、何とも清新で美しい冴えを見せてゆく。
★歌詞とメロディーをあくまで大切にした、抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統に根を張るハートフルで優しい行き方、を基調としつつ、発声そのものから醸し出される「凛としたクールネス」や、一部での、スキャット〜ハミング系統の技を活かしたちょっと妖しい瞑想(幻想)感の描写、といった要素も奏効、トータル的には、オーソドックスな瀟洒さ・温和さ〜小唄感覚と、ヨーロッパらしいアートな耽美ロマン色、が絶妙に融け合った、中々奥の深い独自の歌景色がシカと描き出されており、また、レイジー・スモーキーで少々荒っぽいところもあるサンドシュー(ts)の豪快な活躍も好インパクト。
1. スロウ・ホット・ウィンド
2. スピーク・ロウ
3. 奇妙な果実
4. エイント・ゴット・ノー、アイ・ゴット・ライフ
5. ドント・エクスプレイン
6. ディープ・ソング
7. サム・アザー・スプリング
8. 柳よ泣いておくれ
9. 暗い日曜日
10. ムーン・リヴァー
Lucia Cadotsch ルツィア・カドッチュ(vocal)
Otis Sandsjo オティス・サンドシュー(tenor saxophone)
Petter Eldh ペッテル・エル(bass)
2015年8月17日-19日ポーランド録音
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作CD