★ともに最近亡くなった、長年の盟友コンビ、=ケニー・ウィーラー(1930年カナダのトロント生まれ、2014年英国のロンドンで死去)とジョン・テイラー(1942年英国のマンチェスター生まれ、2015年フランスのアンジェで死去)の、本盤は、2005年に録られていたデュオ演集。
★端正で硬質感あるタッチのピアノが、折り目正しく中々優雅に詩情を映し、陰影深くもキレ味シャープな響きを呈するトランペットorフリューゲルが、時としてはワイルドな豪胆さをも湛えつつ伸び伸びと哀愁を歌い上げた、コンビネーションも抜群の奥行き豊かな濃密内容。
★バラードにテンポをつけてアクション化した、ような感じの、息もピッタリのスインギーな耽美的・抒情的行き方が続き、メロディアスではあるが一定の厳しい面持ちをも堅持した、結構ダークでビタースウィートな文脈展開〜世界観がほぼ一貫する中で、両雄の、自由滑脱でいて鮮やかにエッセンスの凝縮されたアドリブ活躍が、さすが円熟の冴えを、好調ぶりを見せる。
★ウィーラーの、独特の思索瞑想性も仄めかしながらの、張りと勢いあるノワール&メランコリックな憂い節が、ハードボイルドに、雄渾げに力強い華を成しており、一方テイラーの、エレガントでロマンティックそれでいてカッチリとスクエアーにバップ・グルーヴ感を表すところもある、その緩急巧みな劇的ストーリーテリングも、バツグンに研ぎ澄まされた余情溢れる魅力を揮っている。ウィーラーが深々とした優しさを示す寛ぎスロー・バラード調や、インタールード的に挿入される迫真の即興インタープレイ・トラック、といった転回にも瑞々しい妙味あり。
1. Canter #2
2. Fedora
3. Sketch No.1
4. Quiso
5. Who Knows?
6. Sketch No.2
7. Close To Mars
8. Fortune's Child
9. Sketch No.3
10. A Flower Is A Lovesome Thing
Kenny Wheeler(tp,flh)
John Taylor(p)
2005年3月21日-22日ドイツ LudwigsburgのBauer Studios録音
レーベル:
Cam Jazz
在庫有り
CD