★東京やニューヨークでの活動を経て、2005年オランダへ渡り、現在に至るまでアムステルダムを拠点に活動を存続、ここ最近はデュオ・フォーマットによるアルバムを連発して高い評価を得ていた日本人女性ピアニスト:小橋敦子の、デビュー作以来久々となるトリオ編成での一作。
●透明感と深い陰影を併せ持った、ニュアンスに富む折り目正しいタッチのピアノが、きめ濃やかに端麗なメロディーを歌い、ベース&ドラムとのインタープレイ的な迫真味に満ちたやりとりも奏効して、「美」と「サスペンス」が各々目一杯で交錯した、瑞々しさバツグンのリリシズム世界が鮮明に描き出された敢闘内容。
★独特の浮遊感覚をも孕んだ、滑脱でスペイシーな、メリハリはキッチリつけられる「ヨーロッパ耽美派」タイプの機動的ロマンティック奏演が、センシティヴ&スリリングに展開され、ベース&ドラムのエッジの利いた「攻め型」の立ち回りに適宜煽られながら、小橋の、繊細であり、ダイナミックでもある、実に表情豊かなアドリブ妙技が、一本芯の通ったブレなげな、旨味ある好調ぶりを見せてゆく。
★内省感や瞑想感を微妙に匂わせた、心象スケッチ調のしっとりしたアンニュイ&エレガントな憂い節、っぽいフレージングにとりわけ傑出した清新味や美麗さがフル発揮されている他、硬派筋のグルーヴ感〜ダイナミズムが凛然と体現されたモーダル・バピッシュな正攻法のアクション技や、マイルド&ウォームな哀愁バラード趣向だったり粋なファンキー・テイストだったりの寛ぎプレイ、などのメインストリーム寄りなアプローチにも、シッカと旨口な魅力が示されて、その音景色はデリケートなロマンティシズムの中に渋い吟醸味も絶妙にチラつく、中々奥行き豊かな、随所でハッとさせられるフレッシュ・デリシャスこの上なしの仕上がりとなっている。
1. Icebreaker (A.Kohashi/F.vd Hoeven/S.Kaptein)
2. Smile (Charlie Chaplin)
3. Footprints (Wayne Shorter)
4. Fran-Dance (Miles Davis)
5. Lujon (Henry Mancini)
6. Magnolia (A.Kohashi/F.vd Hoeven/S.Kaptein)
7. Gentle Piece (Kenny Wheeler)
8. E.S.P. (Wayne Shorter)
9. Sweet Lies (A.Kohashi/F.vd Hoeven/S.Kaptein)
10. Berimbau (Baden Powell)
11. Quiet Now (Denny Zeitlin)
12. Last Train (A.Kohashi/F.vd Hoeven/S.Kaptein)
13. Embraceable You (George Gershwin)
14. Lujon -alternate take (Henry Mancini)
小橋 敦子 Atzko Kohashi (piano)
フランス・ヴァン・デル・フーヴェン Frans van der Hoeven (bass)
セバスティアン・カプテイン Sebastiaan Kaptein (drums)
2014年3月10日オランダ-ヒルヴェルスムのMCO studio 2録音
*小橋 敦子による収録各曲
解説 解説:淡中隆志
レーベル:
Cloud
在庫有り
国内制作・デジパック仕様CD