旺盛な活躍の続く、デンマークを代表する世界的レヴェルのベテラン・ドラマー:アレックス・リール(1940年デンマークのコペンハーゲン生まれ)の、若手ピアノを抜擢した新トリオによる一編。キレのいいキビキビした機動的ds響鳴に導かれて、p者の、清新でダイナミックな躍動性と粋な歌心に溢れた立ち回りがスカッと壮快に見せ場を飾ってゆく、ストレートアヘッドに徹しきった風抜けのいい会心打内容。リズムやテンポは変化に富み、1曲1曲は簡潔にまとめられた快テンポの小気味よい道程が展開し、主役格pの、新主流派モード・ピアノの正統(ハンコック系)らしい半パーカッシヴな立体力学的凹凸アクション攻勢によるグルーヴ表現と、オーソドックスなバップ&ブルースの渋いイディオム〜情趣を組み込んだ瀟洒で勇ましげな小唄的メロディーの形成、をバランスよく自然に連繋した、明快でフレッシュそして滑脱な闊歩邁進ぶりが、どこまでも親しみやすく清やかに華=輝きを放っていて何とも素敵。そうしたp者の、輪郭明媚で表情豊かなイキイキとした最良面を細心のナヴィゲートで的確に引き出してゆくようなリールの、緻密に小回りを利かせ、また緩急・柔剛のメリハリをクッキリと大きくつけた、ドラマティックな情動的(人情的)リズム演出がまた最高に美味芳醇。加えて、随所で前面に浮かび上がり、伸び伸びと構えた歌謡性たっぷりのウォーム&グルーヴィーなソロを決めるルンゴーの追い上げ様も際立っており、音空間〜道筋はごく自然体でいて色彩感と旨味に満ちた、密度の高い仕上がりとなっている。概ね、リラックスめの抒情的・歌物的な行き方がメインとなっていて、肩の凝らないハートフルな娯楽世界を快適に楽しませるが、中でも、p者が間の妙を活かした抑制と陰影味あるファンキー・プレイで飄々と軽やかに泳いで行く、波乗り感覚の爽涼な寛ぎ小唄路線が、殊の外含蓄余情に富み何とも風流で忘れ難い。平易かつ明朗な、瑞々しい意気の一貫する逸品。
1 Yesterdays (03:13)
2 Nature Boy (04:01)
3 100 M Spurt (06:00)
4 Without (07:39)
5 I'm Getting Sentimental Over You (04:43)
6 Ac-cent-tchu-ate The Positive (03:58)
7 Giant Steps (03:08)
8 Dreaming Steaming (03:34)
9 3rd Dimension (03:56)
10 Idaho (03:59)
Alex Riel(ds)
Heine Hansen(p)
Jesper Lundgaard(b)
2003年2月、2004年4月 録音
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デジパック仕様CD